「21世紀の国民病」ともいわれる肝臓病。この病気で亡くなっている人の数は、厚生労働省の
調べによれば現在、年間5~6万人を超えているのです。この病気は働き盛りの中年に多く、その数はさらに増える傾向にあります。参考までに40~50歳代にかぎって調べてみると、肝臓病は病気による死亡原因全体のなかで2番目になっています。
このような肝臓病に対してもウコンは、かなりの効果を発揮します。すなわち、胆汁の分泌を促進し、肝臓機能そのものを強化してくれるのでとても頼もしい存在なのです。
肝臓は人間の体内では、もっとも大きな臓器です。数千億個ともいわれる肝細胞から構成され、そこには毛細血管が縦横に張りめぐらされています。肝臓は大量に流れ込んでくる血液に働きかけて数多くの化学処理を行っていますが、その機能を人工的に再現しょうとすると関東平野くらいの大きさの一大化学工場が必要だといわれるほどです。
肝臓の機能には代謝、解毒、胆汁の分泌という三大機能があり、なかでも特に重要なのは物質の代謝です。
胃腸で吸収された物質は、いくつかの経路を通って肝臓に運ばれ、そこで生命を維持するために必要なエネルギー源や各種の物質に作り換えられます。こうして代謝されたものは、そのまま血液中に出されるのではなくて、例えばブドウ糖はグリーコーゲンとして肝臓に貯蔵され、必要に応じて血液中に出されます。ただし、この際に栄養の摂りすぎによって充電過剰になり、肝臓に障害が生じることがあります。
また、肝臓は危険性のある有害物質を解毒して排泄しやすい形に変えるという生命維持のために欠かせない重要な働きをしています。
クルクミンや精油成分が解毒作用を活発化
例えば、お酒好きな人にとっては肝臓におけるアルコールの解毒作用がとても気になるところです。肝臓に運ばれたアルコールは酵素の働きによってアセトアルデヒドに分解され、さらに酢酸に変化したあと、最終的には二酸化炭素と水とに分解されて排泄されます。このとき、とても強い味方になってくれるのがウコンなのです。それは、ウコンに含まれるクルクミンや精油成分の働きによって肝臓の解毒機能が強化され、肝臓におけるアルコールの解毒作用が活発になるからだと考えられています。
これに関しては、「特に春クコンはアルコールの代謝によい」と指摘されています。動物実験によれば、ウコンの精油成分には胆汁酸の分泌を促進する作用のあることが証明さ㌍れています。
例えば、ネズミの胆道にウコンを注入してやると非常に強い消炎・利胆作用が現れました。特に黄痘の症状には、かなりの効果を発揮するようです。
このようなことからウコンのもつ消炎・利胆作用で肝臓機能が強化されると考えられます。肝臓は元来、とても強い臓器で、少しくらい痛めつけられてもじっと我慢してなかなか症状を現さないため、「沈黙の臓器しともいわれています。ですから、異変に気がついたときには手遅れだったということになりかねません。
それで、肝臓病には何よりも早期発見と治療が大切になるのです。もし、慢性化してしまうと、完治するということがほとんどなく、生涯を通じて肝臓病の影におびえながら生活しなくてはならなくなります。
現在のところ、肝臓病の特効薬は見つかっていませんし、手術をすればすぐ治るというような手っとり早い治療法もありません。
安静と食事療法が治療の基本でそれが数ヶ月から数年に及ぶことも稀ではありません。
40~50歳の働き盛りの人に多く発症しているのですから忙しい現代人にとっては歯がゆいばかりの病気なのです。
このような肝臓病の予防に、とてもすぐれた薬効をもつ生薬として注目を集め始めたのがクコンなのです。このウコンの肝臓機能強化作用については、この他にもさまざまな研究が行われ、その成果が報告されています。
たとえば、日本薬学会の特別講演で、「ウコンのクルクミンが肝炎に対して有効... ... 肝障害に対しても有効」であると発表しています。また、マウスを使った動物実験で、「ウコンは胃酸の分泌をいくらか抑制する一方、胆汁の分泌を著しく促進し、胃腸の働きをよくする」ことを明らかにしています。
さらに、は、犬を使った動物実験で「ウコン3 グラムを水に溶かして与え、胃の運動を測定したところ、どの犬も著しく胃の運動が克進した」と発表しています。
その他に、ストレス性の胃潰瘍、十二指腸潰瘍の予防にウコンがきわめて効果的であることを確認しています。
また、ウコンの類似植物であるガジュツには、慢性胃炎や胃・十二指腸潰瘍の原因となるといわれているヘリコバクターピロリという細菌を除去し得る可能性が証明されてきています。ウコンにも、その可能性は十分にあると考えられています。
コメント