花粉症に-発で効く安全な注射があるというのは本当?

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スギやヒノキの花粉が飛び始めると、強烈くしゃみ、鼻水、鼻づまり、涙目、かゆみなどに襲われる人が多くなります。いまや「国民病」とも言われる花粉症です。

花粉症とは文字どおり、草木の花粉をアレルゲン(原因物質) とするアレルギー症状で、一度かかると、完全な治療(根治) はいまのところ困難です。このため、治療は患者さんの症状に応じて薬を用いる対症療法を中心に、鼻の粘膜をレーザーで焼灼して花粉の付着を防ぐレーザー療法や、アレルゲンに体を徐々に慣らしていく「減感作療法」などが行なわれています。

このようななか、「l シーズンに一度打つだけで、症状が出ない」という全身ステロイド注射が、花粉症の患者さんの間で話題を集めています。「あの苦しい症状が一度の治療で抑えられるのなら、ぜひ試してみたい」と言う患者る患者さんも多いのです。

この注射は、ステロイドホルモンが配合された持続性のある薬剤です。ステロイドホルモンは体の免疫機能を抑制し、体に侵入した花粉を追い出そうという働きを抑えるため、アレルギー症状は軽減されます。

ただし、ステロイドホルモンは花粉だけではなく、細菌やウィルスなど他の異物に対する体の防御反応も同時に抑制してしまいます。つまり、花粉症の症状を抑えるいっぼう、他の感染症を引き起こす恐れも高くなります。

また、持続的にステロイドホルモンが効いていると、本来、ステロイドホルモンを分泌する副腎皮質の働きが抑制されます。その結果、ホルモンバランスが崩れて、肝臓障害、更年期障害、むくみ、生理不順、さらには精神変調といった重い副作用を招く可能性が出てきます。

したがって、「花粉症に一発で効く薬」はありますが、「安全な薬」はありません。対症療法に用いられるステロイドが配合された塗り薬や点鼻薬は、医師の指示にしたがい使用すれば問題ありませんが、持続性のあるステロイド剤の全身投与は、けっしておすすめできません。

現代人に多いのは「口呼吸」によって免疫力を低下させてしまっている人です。口呼吸の改善が重症の花粉症にかなり効果があるのも最近の常識です。

口呼吸は免疫力を低下させる、鼻呼吸に切り替える

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