「微熱があって調子が悪い」という方に体温を測ってもらうと、36.7度でした。一般的な感覚では平熱ですが、この方のふだんの体温は35度後半から36度ということなので、微熱と感じてもしかたありません。
医学的には一般に37.5度以上を「発熱」と考えますので、この方の場合は発熱しているとは診断しません。ちなみに、発熱のうち37度台を「微熱」とし、39度以上を「高熱」とします。
最近、このような方が増え、日本人の「低体温化」が進んでいると言われています。50年ほど前の日本人の平均体温は、36度後半でした。いまは36度前後の人が多いという報告も出ています。
このような事実を踏まえて、ふだんから体温を測定している人が平熱よりも1度以上高い場合には、発熱を疑うと言う医師もいます。低体温化の背景として、食生活の変化、不規則な生活習慣、極端なダイエット、筋力低下による基礎代謝の低下、体のあらゆる細胞を働かせる甲状腺ホルモンの減少などさまざまな要因が挙げられていますが、
はっきりしたことはわかっていません。ただ、「冷えは万病の元」と昔から言われるように、体温が低下すると、体の至るところに数多くの影響が現われます。
不眠、肩こり、腰痛、腹痛、頭痛をはじめ、免疫機能の低下を招くため、感染症にかかる可能性が高まります。また、ガンや重篤な心臓疾患の発症リスクを2~3倍にも高めてしまうこともわかっています。
さらに、1日の体温の変化グラフと突然死をした方の割合のグラフを重ね合わせると、外気温が下がり、体温がもっとも低い時間帯(午前3~5時) に突然死が増加することも確認されています。
寒冷刺激が交感神経を刺激し、血圧や心拍数を増加させ、血管事故の直接的な原因となる血管内の血栓を作りやすくするのです。まさに体温が低ければ低いほど、死につながる可能性が高いということです。
加齢にともない、脳心血管系の疾患の原因となる動脈硬化が進み、抵抗力も弱まります。とくにご高齢の方は、体温低下が重篤な疾患を発症する引き金となることも予想されるので注意してください。
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