風邪をひいたら汗をかくは間違いからすると入浴はNGのように思いますが真意はどうでしょう?
「風邪を引いているのですが、入浴してもいいですか? 」と患者さんによく尋ねられます。そんな時私は、患者さんの全身状態を診て、問題がなければ「いつもと同じ入浴ではダメですが、ぬるめのお湯で「カラスの行水」程度ならいいですよ」と答えることにしています。
それでは、なぜ、「いつもの入浴」はいけないのでしょうか。それは、入浴をするとエネルギーが消費され、体力が著しく消耗するからです。
たとえば、20歳代の体重65kgの男性が30分間入浴すると、100kcalほど消費します。これは30 分間の自転車こぎや、1時間程度のウォーキングとほぼ同じエネルギー消費量です。
風邪で体調がすぐれない時、体力を消耗すれば、治りが遅くなってしまいさらに、湯冷めが問題です。健康な人でも湯船でゆったり温まったあと、脱衣所に行くとブルッと震えることがありますが、熱の出ている人は自分の体温と外気温との差が大きくなるので、よけいに体温が奪われやすくなるのです。
「それなら、すぐに服を着ればいい」と思うでしょうが、風呂から上がって水滴をよく拭き取っても、しばらくは体温調節のために汗が出ています。その状態で下着を着けると、布地に汗がしみ込み、湿った状態になります。その汗が蒸発する時、体温を奪い、体を冷やします。
したがって、風邪を引いている時は「疲れず、湯冷めのしない風呂の入り方」をしなければなりません。
それが、カラスの行水です。ぬるめのお湯にさっと入って、体を洗って上がります。この時、脱衣所や風呂場をあらかじめ暖めておき、タオルで汗を拭き取ったあと、しばらくしてから服を着ると、疲労や湯冷めを防げます。っまり、風邪を引いている時の入浴はかまいませんが、入り方がポイントになるということです。
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