骨粗鬆症という病気をご存知ですね。骨がスカスカになり、もろくなってしまう病気です。骨がもろくなれば、骨折も多くなります。とくに、高齢者などでは大腿骨と骨盤の付け根(大腿骨骨頭) を骨折し、そのまま寝たきりになつてしまうケースも数多く報告されています。
では、「骨がスカスカになる」というのは、具体的にどのような状態なのでしょう。骨粗鬆症の患者さんのエックス線写真からは、骨の内部の密度があきらかに低下しふて、味噌汁などに入れる毅のような状態になっていることがわかります。
「これでは、骨折しやすくなるのも当然だ」と誰もが感じるのではないでしょうか。ところが、最近の研究で「骨密度で説明できる骨折リスクは70 %」と報告されました。つまり、骨密度の高低だけが骨折の原因ではなく、たとえ骨密度が正常であっても骨折する人が30 % いるということです。
ここには、骨の新陳代謝が深くかかわっています。骨は破骨細胞により、およそ20日間かけて壊され、骨芽細胞が約90日で再生します。この間の再生中の骨は、小さなへこみができているような状態ですから、折れやすくなるのです。
また、破骨細胞の働きを抑える女性ホルモンが減少すると、破骨活動が活発となり、ますます骨折リスクを高めます。日本骨粗軽症学会の『骨租老症の予防と治療のガイドライン2006年版』によれば、同じ骨密度であっても、次のような項目に当てはまる人は、骨折リスクがその分だけ高まるとしています。
- 過去にささいなことで骨折したことがある人(2 倍)
- 喫煙習慣のある人(1.3~1.8倍)
- 日本酒換算で1日2合以上の飲酒習慣のある人(1.3~1.7倍)
いかがですか? もし、該当する項目があれば、たとえ骨密度に自信があっても、骨折には十分に注意してください。
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