水の表面張力と界面活性剤

水はさまざまな物質をとかします。酒や紅茶、スープなどが好みに合わせておいしく飲めるのも、水がいろいろな成分を均一にとかす性質をもっているからです。水の右に出る溶媒はないでしょう。海水を見てみても、食塩だけでなく、ウランなどの重金属、塩類、さらに酸素、二酸化炭素などのガス類などがとけこんでいます。

その水がもつ特徴として、物をとかす能力のきわめて高い液体であるということがいえます。そして、この能力は、Ⅰつの物質がとけると、ほかの物質をもつとよくとかすようになるという特別なものなのです。

たとえば、空気中には、燃焼その他によって絶えず炭酸ガスが放出されています。この炭酸ガスが水にとけると、水は酸性になり、さらに多くの物質をとかす能力をもつようになるのです。水分子の間には、水素結合のほかに双極子の力も働いています。水のなかに異種分子がとけこむと、その相手によってこれらの力を使いわける情報が、水分子のなかに秘められているのです。

水分子の環境の変化に対する適応能力は極めて高いのです。つまり、水が物をとかす能力は、いろいろな手段によって変えることができるということです。

一番簡単なのは、温度を変えることです。温度を高くすると、よくとけるようになります。ただし、気体の場合は水の温度が低い方がよくとけるようになります。

「塩析」や「塩溶」とよばれる現象を利用して、溶解性を変えることもできるのです。たとえば、生物にとって大切なアミノ酸は、普通の水にはよくとけるのですが、砂糖水にはとけず、沈殿します。これを「塩析」といいます。逆に、尿素溶液にはとけやすいのです。これを「塩溶」といいます。原始生命が発生したとき、アミノ酸はこれらの現象を通じて原始生命の活動を支えてきたのでしょう。

一方、水と混ざり合わないものももちろん存在します。「水と油」というように、油は水にとけなません。ただし、油も界面活性剤を加えれば、水と混ぜ合わせることができます。

界面活性剤とはどのようなものかというと、身近なものに石鹸があります。ここで、石鹸が汚れを落とす仕組みについてです。

油のような水になじまない物質(疎水性)を水に加えると、そのまわりを水分子が取り囲んで、一種のかごのような形を形成します。この状態の水分子は不安定で、なるべく疎水性物質を追い出そうとします。水といろいろな物質との填い目を「界面」という。界面に接している水は、水分子同士の連帯がいっそう強くなり、特別な構造をもつようになります。これは水の特別な集団で、排他的な性格をもちます。

水と空気が接している界面では、内部の水分子が液体の表面にある分子を引っばりこもうとします。これが表面張力です。

コップに一杯入った水がこぼれないのは、表面張力の働きです。石鹸や一般的に界面活性剤とよばれる物質は、油の性質をもつ疎水基と、水になじむ親水基とからなります。

水に洗剤をとかすと、疎水基は水からはじき出され、疎水基が水の表面に、親水基が水中にあるような配列になるのです。ちょうど、水面が油でおおわれた状態になるのです。

洗剤は水に比べて表面張力が小さいから、水の表面張力を下げるように働くのです。そのため洗剤を使うと、水分子同士のひっばり合う力が弱まり、水だけでは染みこめないところまで浸透できるようになって、衣服についた汚れの分子をはぎとるのです。