水の構造と酒の酒の熟成

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水の分子は不規則な四面体ですが、液体の水はそれがいくつもつながっており、分子間にはたくさんの隙間があるのです。

液体の水の構造をX腺解析などで調べてみると、1個の水分子のまわりに約4.4個の接水分子が存在します。固体の水の場合は4個ですから、10%大きいことになります。

一定体積の水のうち、実際に水分子そのものが占める割合は約38%です。つまり、残りの約62%が隙間というわけです。水はかなり隙間の多い構造ということです。

たとえば、水10mlに水5mlを加えれば当然15mlです。ところが、水10mlにエタノール5mlを加えたものは、25°で、14.6mlにしかなりません。

エタノールが水の構造の隙間に入ったためか、あるいは加えたエタノールによって、水の構造が変化したためです。

「スコッチは何年ものがよい」などといったりしますが、ウィスキー、ブランデー、焼酎、泡盛などの蒸留酒は、蒸留後何年か貯蔵した古酒が珍重されます。醸造酒にも、清酒や中国の紹興酒には古酒があります。こうした酒の熟成に、水が大きな役割を果していることが最近明らかになってきました。

酒を寝かせると、味に丸みが出てくるのは、水の分子の隙間に細長いアルコールの分子が入りこんで、アルコール分子が水に包み込まれた形になるためです。

新しい酒では、水分子とアルコール分子がバラバラに存在しているために、飲むと、ツンツンした刺激を受けてしますのです。酒の熟成とは、水分子とアルコール分子の会合の度合であるといえるのです。

現在、酒造会社ではNMR(核磁気共鳴) などの分析手段を用いて、どのくらいのアルコール濃度で貯蔵すれば、最も理想的なアルコールの熟成が達成できるかという実験を行なっているのです。

アルコールと水の混合溶液の実験結果では、60%のアルコール濃度の場合、アルコール分子が水分子間の隙間に入り込む率が最も高くなり、溶液全体の体積の3%近くが減るということです。

これまで経験的に行なわれてきたウィスキー貯蔵のアルコール濃度は、だいたい60%です。これが実験結果とびったり一致したのです。

アルコールを安定に保つ濃度は40%がいいとされます。40%というと、アルコールが最も粘り気をもつ濃度です。

現在、ウィスキーやブランデー、泡盛などの古酒を瓶詰めにする場合、アルコール濃度を40%前後に調整していますが、これはやはり安定性を保つためです。樽や素焼きのかめに詰めて貯蔵する場合には、最も熟成の進みやすい60%に、瓶詰めにして売り出す場合には、安定性のよい40%にしているのは、このような水分子とアルコール分子との関連をしっかり考えられているのです。