「免疫」と一致するもの

子どもは風の子、元気な子」と、誰でも一度や二度は言ったことがあるでしょう。子どもに対し、活発な運動による健康増進をすすめることわざです。

また、寒い季節にもかかわらず、「外で遊びなさい」と昔は親から言われたものですが、これも親の誰もが遥動が風邪を予防する″ と経験的に知っていたことにほかなりません。

ところが、この「経験」が、米国のアパラチアン州立大学人間行動研究所ニーマン博士らの「前向き疫学調査」で、2010年に科学的に裏づけられました。

前向き疫学調査とは、ある因果関係を将来にわたって調査する疫学研究のひとつの方法です。博士の調査は、18~85歳の男女1002例(女性60%、男性40% )に対し、運動回数とその強度を10 ポイントのスケールで自己評価をしてもらうとともに、食事や最近感じたストレス、生活習慣などの免疫機能にかかわるファクターを調査したものでそれによると、ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動を週5日以上行なっていたグループ(215例) は、ほとんど運動をしないグループ(週1回以下の341例) に比べ、過去12週間に風邪にかかった日数が43% 減少していたということです。

また、健康に対する意識(自己評価) が高い人は、低い人より雁患率が46%低下し、風邪の症状スコア、重症度スコアも32 ~41 % の大幅な低下が認められたとしています。

「この結果は、年齢、教育レベル、結婚、性、ストレスレベル、体格、くだものの摂取状況などのファクターを補正して得られたもの。また、加齢、男性、既婚などのファクターも、風邪の発症回数の減少と関連性が認められたが、健康への自己評価の高さと運動回数がもっとも有意な関連性を示す」と同博士は述べています。少しわかりづらいかもしれませんが、要は子どもに限らず大人も運動を行ない、高い健康意識を持つことが、風邪の予防と症状の軽減に有効だということです。

結論はあたりまえのようなことですが、この種の研究報告がほとんどなかったことを踏まえると、この調査は風邪に対する有意義な疫学研究だと思います。

たまには自然に触れる時間をもつ

スギやヒノキの花粉が飛び始めると、強烈くしゃみ、鼻水、鼻づまり、涙目、かゆみなどに襲われる人が多くなります。いまや「国民病」とも言われる花粉症です。

花粉症とは文字どおり、草木の花粉をアレルゲン(原因物質) とするアレルギー症状で、一度かかると、完全な治療(根治) はいまのところ困難です。このため、治療は患者さんの症状に応じて薬を用いる対症療法を中心に、鼻の粘膜をレーザーで焼灼して花粉の付着を防ぐレーザー療法や、アレルゲンに体を徐々に慣らしていく「減感作療法」などが行なわれています。

このようななか、「l シーズンに一度打つだけで、症状が出ない」という全身ステロイド注射が、花粉症の患者さんの間で話題を集めています。「あの苦しい症状が一度の治療で抑えられるのなら、ぜひ試してみたい」と言う患者る患者さんも多いのです。

この注射は、ステロイドホルモンが配合された持続性のある薬剤です。ステロイドホルモンは体の免疫機能を抑制し、体に侵入した花粉を追い出そうという働きを抑えるため、アレルギー症状は軽減されます。

ただし、ステロイドホルモンは花粉だけではなく、細菌やウィルスなど他の異物に対する体の防御反応も同時に抑制してしまいます。つまり、花粉症の症状を抑えるいっぼう、他の感染症を引き起こす恐れも高くなります。

また、持続的にステロイドホルモンが効いていると、本来、ステロイドホルモンを分泌する副腎皮質の働きが抑制されます。その結果、ホルモンバランスが崩れて、肝臓障害、更年期障害、むくみ、生理不順、さらには精神変調といった重い副作用を招く可能性が出てきます。

したがって、「花粉症に一発で効く薬」はありますが、「安全な薬」はありません。対症療法に用いられるステロイドが配合された塗り薬や点鼻薬は、医師の指示にしたがい使用すれば問題ありませんが、持続性のあるステロイド剤の全身投与は、けっしておすすめできません。

現代人に多いのは「口呼吸」によって免疫力を低下させてしまっている人です。口呼吸の改善が重症の花粉症にかなり効果があるのも最近の常識です。

口呼吸は免疫力を低下させる、鼻呼吸に切り替える

体温アップ=免疫力アップ

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体は温めたほうが病気にならない」「体温が低いと、ガンになりやすい」最近、このような話題に接することが多くなりました。

「体温を上げると免疫力は上昇する」これは正解で、多くの実験データでも証明されています。人間の体温は、つねに36.5~37度の範囲に保たれています。

「人間はこの平熱より5度高い41.5度の発熱でもなんとか耐えられるが、逆に5度低い31.5度では、体内の代謝活動を正常に保てない」という話をよく聞きます。

重篤な障害を脳に負った方を対象とする「脳の低体温療法」は、これを逆手に取った高度な治療法ですが、体はとにかく体温の低下には弱いのです。

体が冷えると代謝活動が落ち、栄養素や老廃物を運ぶ血行も悪くなります。また、多くの酵素や腸内細菌が棲息し、「免疫の要」である腸の活動も低下します。体が冷たいと、免疫をつかさどる紳胞や酵素はぜんぜんうまく機能しない」とは、カリフオルニア大学ダニエル・セスラー医師の言葉ですが、実際に、平均体温が1度下がると免疫力は約37%下がり、平均体温が1度上がると免疫力は約60%活性化すると言われています。

このように、体温は免疫力に大きな影響を与えるのです。風邪を引いた時に熱が出るのも、体温を上げて免疫力を上げようとする防衛反応です。また、体温が低いと体内の細菌に対する抵抗力が低下し、腸内では悪玉菌や有害菌が増殖して、感染症などのさまざまな病気の原因にもなります。

つまり、体温が低ければ低いほど、多くの病気にかかる可能性が高くなります。心筋梗塞、脳卒中、ガン、アレルギー性疾患、婦人科系疾患といった身体疾患はもちろん、うつ病、神経障害などの精神神経疾患まで、あらゆる病気の発病に影響を与える可能性があるのです。

冷え症を防ぐ、改善する食事