原因を発見するまでに、平均4年弱もかかる「睡眠障害」をご存知ですか?それは、脚がムズムズすることからムズムズ脚症候群とも言われる「レストレスレツグス症候群」です。
この病名から睡眠障害とは思わず、自分には関係ないと考えている方も多いのですが、じつは推定で200~500万人もの患者さんがいるとされる、ありふれた病気です。
脚のムズムズ感は、人により異なり「虫がはうようなムズムズ感」と表現する方や、単純にだるい、うずく、ひきつる、熱い、冷たいなどと言う方もいます。
ただ、このような不快感を示す病気はたくさんあることから、医師もなかなか確定診断ができないというのが現状です。最近の研究で、この脚の不快感は、脳からもたらされていることがわかってきました。
私たちの脚はふだん、さまざまな刺激を受けています。その刺激は信号化され、脊髄から脳へ送られます。ただ、なかには生命活動に不必要な信号(刺激)もあります。
その信号をブロックするためにA11と呼ばれる神経細胞が、脊髄の興奮を抑え、不必要な信号の侵入を阻止していると考えられています。
では、どうして不必要な刺激のムズムズ感が脳に伝達されるのでしょう。これはあくまでも仮説ですが、A 11の働きがなんらかの理由で弱くなると、ブロックしていた信号が脳に入ってしまうと考えられています。
すると、脳は過敏状態になり、もともとたいしたことのなかった刺激を、徐々に強い刺激と感じるようになり、がまんできない不快感を感じるようになるのです。
これが、ムズムズ感の正体です。不快な症状が夜(就寝中) に現われるのは、A11細胞の働きに欠かせない栄養素である血液中の鉄分量が減少するためではないか、と考えられています。
また、抗うつ薬などの薬剤が原因となることもあり、不規則な睡眠や夜間のカフェイン摂取なども症状の悪化をきたします。健康保険が適応となる治療薬もありますので、もし、脚の不快な症状により眠れない場合は、精神科や心療内科などの睡眠医療に詳しい専門医にかかることをおすすめします。
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