人間の血液型は、赤血球の表面を覆う糖鎖の先についている糖の種類により、A、B 、A B型に分かれ、何もついていないとO型になります。
「O型は蚊に刺されやすい」という説は、俗説や眉唾と言われることが多いのですが、蚊の研究の第一人者、元東京大学農学部教授池庄司敏明氏が言及されているだけに、簡単には片づけられない説です。
同氏によると「蚊はいつも人の血を吸っているわけではない。産卵期に入ったメスだけが卵細胞を成熟卵に育てるために動物の血液を吸い、通常は花の蜜や果汁、木の樹液などの糖分をエサとしている。
また、血液型の違いによって刺されやすい人と刺されにくい人がいる。蚊はO 型の血液をおいしいと感じているようです。なぜなら蚊は、花の蜜とO型の血液は非常に近いと感じているからだ」としています。
蚊は人間の血液のO型をどのように見分けているのでしょうか? 「血液型物質は、赤血球の表面に付着しているだけではなく、汗、唾液、涙、尿、髪の毛にも含まれている。
蚊は汗に含まれる血液型物質の匂いを感じ取り、花の糖分に似たO型の血液を見分けている」とのこと。さらに、蚊は人が呼吸する時に排出する二酸化炭素のわずか0.01% の濃度変化を感知するので、お酒を飲んだあとは刺されやすくなり、人の汗に含まれる乳酸を感知するので、汗をかいている時も刺されやすいと言及されています。
こでは池庄司氏の研究論文および科学的根拠を詳らかにすることはできませんが、なかなか興味深い研究だと思います。さて、蚊に好かれるというO型の血液ですが、緊急時の輸血に際しても有用です。
本来、輸血は同型どうしで行なうのが原則ですが、緊急の場合や患者の血液型が不明な時に限り、0型の赤血球だけをA、B、AB型の人に輸血することが救急医療の現場で行なわれることがあります。ただし、O型血液の血液中に抗A抗体、抗B抗体が含まれるため、全血輸血はできません。
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