日差しが段々暖かくなってきて春の到来を感じ始める2月の頃、テレビの天気予報以外にもう1つ、予報が加わることになる。「杉花粉情報」「花粉の飛散度」等の名前をつけられた杉花粉の飛散予報が天気予報よろしく発表される時代となった。天気予報よりももっと注意している人が増加している。
花粉症がひどい人にとっては本当にストレスのたまる時期。長い人だと5月頃まで続く人もいます。
全国ネットのテレビで流すぐらいなのだから、それだけ情報を必要とする人が多いということになる。推定3,000万人以上、国民の4人に1人がスギ花粉症。
花粉症の実際に、鼻がむずむずしてくしゃみがでたり、鼻水が止まらなくなったり、目がかゆくなったり、だるくなったりと、あの不快な症状を経験して春を感じる人もいる。
おかげで春はかなり多くの人にとって憂鬱な季節に変化してしまった。やっかいなことに花粉症は、去年はまったく症状をあらわさなかった人であっても、次の年になって突然発症してしまうことがある。とくに年配の人は「去年まで何ともなかったのに」「自分はアレルギー体質ではないはずなのに」と、突然の発症に戸惑いを隠せない。急に花粉症の恐ろしい症状に戸惑うのが普通だ。
それではなぜ、去年までは何ともなかった人がいきなり花粉症になるのであろうか。花粉症というのは、ご存知のように杉の花粉を中心とした花粉へのアレルギー反応である。通常、わたしたちの体は、細菌など異物の侵入を受けると免疫機能がはたらいて、異物に対する抗体をつくりだし、やっつけてしまうようなシステムができている。
花粉もその例外ではない。抗体は体内のある細胞の上に待機していて、次に同じ異物が侵入してきたときにはその異物を体外に排除するように、ヒスタミンという物質を細胞に出させる。花粉症の人は免疫機能が過敏に反応して抗体を大量につくり出してしまい、その結果ヒスタミンも大量にでて、これが血管や神経に作用してくしゃみ、鼻水、目のかゆみなどを引き起こすことになるのだ。
つまり、「今年になって突然花粉症になった」という人は、症状のでなかった去年も、体にとって異物である杉花粉に対する抗体は体内でつくられていたのだが、量が少なくアレルギー反応をおこす量に満たなかったのだ。しかし、花粉の飛散の多い年になると、体の中で大量の抗体をつくることになり、ある日突然発症してしまうことになる。
いわゆる花粉症というのは、戦前はほとんどなかったといってもよい。しかし、現在では全人口の10% の人が、軽重にかかわらず花粉症であるといわれる。
なぜ、最近になって、花粉症やアトピー性皮膚炎などのアレルギーにたくさんの人がかかるようになったのだろうか。まず、アレルギーを起こす原因物質の増加があげられる。戦後の日本では杉の植林政策がしかれたため、戦前よりも杉の本数が膨大になっている。当然、花粉の量も増えることになる。簡単に言えば人間がまいた種でもある。建築資材の需要急増とともにスギが増えている。
また、道路が舗装されたりして、花粉が地面に吸着せず、いつまでも空気中を漂うことになる。当然、花粉症は起こりやすくなる。また、大気汚染など私たちを取り囲んでいる環境は悪化の一途をたどっている。食品添加物が増加し、肉類を多食するようになるなど食生活も変化しているし、ストレスの増加や、じゅうたんやアルミサッシを多用した住環境の変化なども原因の1つであるといわれる。
アレルギーを治すには、まず原因物質を除去することが第一の対策だ。花粉症であれば、外出を避けたり、マスクやめがねを使ったりと備にはい.ってくる花粉の量を少なくすればよい。
最近では、花粉症対策グッズの特設売り場ができている。これらのグッズを上手に利用すれば、かなりの効果をあげられるだろう。また、手や顔を洗ったり、うがいをしたり、上着類を玄関先で脱ぐなど、花粉を家の中に持ち込まないように気を配ることも大事。意外なのが髪の毛につきやすく外出した後に髪の毛についた花粉が部屋にばらまかれてしまう場合もあるので注意しなければいけない。
花粉の移動は空気中を飛ぶことのほかに、人に付着することによる分がかなりあるからだ。家の中をこまめに掃除したり、布団を干すときにも花粉がつかないように、とにかく花粉を身の回りから無くすように家族にも協力してもらうことが必要となる。
症状がひどいときには抗アレルギー薬を服用する方法もある。
抗アレルギー薬は、鼻の粘膜の過敏性を低下させるはたらきがある。しかし、これは服用してから効果がでるまでに2週間はかかるので、くしゃみ、鼻水などを発症する前に服用することが大切だ。抗ヒスタミン錠剤も効果があるが眠くなるため、車の運転や作業中にはむかない。しかし、これらの花粉の除去につとめても、症状が改善しないこともある。
杉の花粉が原因と思っていたら、ダニやハウスダストが原因物質だったということもあるからだ。このようなときには病院にいって、何が原因なのかをつきとめるように、抗体検査をしてもらったほうがよい。
アレルギーというのはすぐに治るものではないから、あせらずに、抵抗力をつけていく努力が望まれる。食生活や適度な運動で、症状が軽くなっている場合が少なくない。
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