免疫力はこんな場面で下がっている 悲しみのストレスはかなり強力に働く

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働き過ぎも「体のパワー」を下げてしまう

では、どうすればNK細胞を活性化できるか、何がNK細胞を弱めてしまうのかについては、まずNK細胞の特徴を知っておく必要があります。

NK細胞が軍の本隊であるT細胞やB細胞と大きく違う点は、年齢の影響を受けることです。普段は休んでいて有事の際だけ出動するT細胞、B細胞はどのくらい生き延びるのかと言えば、おそらく人間が200歳くらい生きてもびくともしないだろうと言われています。100歳くらいになれば心臓やその他の臓器はガタガタになりますが、

免疫本隊はまだまだ丈夫だというのです。年齢にかかわらず軍隊そのものは力を保持しているので、ワクチンを打つという「軍事訓練」は、何歳になっても有効です。90歳、100歳といった高齢の方にインフルエンザのワクチンをして効果があるのはこのためです。

このように、T細胞、B細胞は、年齢という条件に影響されません。さらに、悲しいとか嬉しいといった感情に左右されることもありません。気分が沈んで何もやる気が起こらなくても、T細胞やB細胞の働きが悪くなるわけではないのです。

一方、NK細胞は加齢とともに弱くなります。生まれつきNK活性(NK細胞の活性度)が高い人、低い人の違いもありますが、一般に、だいたい60歳を過ぎれば、年齢とともにNK活性は下がっていきます。

NK活性が低い人は、病気の発症率が高く、お亡くなりになる率が高いせいか、お元気な高齢者はNK活性の高い方が多いようです。NK細胞に影響を与えるのは、年齢だけではありません。

日内リズムの変動に非常に弱い。日内リズムとは、昼は交感神経が優位に働くので仕事に向き、夜は副交感神経が優位に働くので休息に向く、というリズムです。夜遅くまで働きすぎると、いつまでも交感神経のアクセルを踏みっばなしの状態になり、リンパ球そしてNK細胞が元気をなくしていきます。

もっともいけないのは、生活リズムが不規則なこと。あるときは朝型だつたり、またあるときは夜型になったり、と生活リズムがバラバラでは、NK細胞の働きが途端に不安定になります。

免疫力をコントロールする生活の基本

もう1つ大事なことは、NK細胞は精神的な影響をとても受けやすいということ。ストレスを感じると交感神経が刺激されて、緊張します。すると体内には、ストレス反応で有名な「アドレナリン」や「ノルアドレナリン」が分泌されます。

このホルモンは、心拍数や血圧を上げるもので、動物が敵や獲物に遭遇したとき、「敵だ、逃げろ!」「戦え!」「獲物を追いかけろ! 」という反応を全身に引き起こすものです。

それだけ強いホルモンですから、毒性もあるわけです。いつもビリピリ、カリカリ、イライラしていると、交感神経が緊張しっぱなし、アドレナリン系のホルモンが分泌されっばなしになるので、体内を毒素がめぐりNK活性も阻害されてしまいます。

怒りや不安といったストレスのほかにも、後悔や悲嘆もNK細胞の力を弱めます。いつまでもクヨクヨしていたり、マイナス思考が強かったりする人は、NK細胞が弱まっていると言えます。

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もっとも大きなストレスは、悲しみのストレスです。ラットの動物実験で、子育てをしている母ラットから子どもを取り上げてしまうと、母ラットのNK 活性が一気に低下することが確かめられています。

これは人間も同じで、子どもを失ったストレス、愛する人を失ったストレスがもっともNK活性を落としてしまうのです。ラットの実験では、元気なラットを、ストレスによって元気をなくしたラットのそばに置くと、元気なほうのラットのNK活性まで落ちてしまいます。

ただし、悲しみを伴う受動的なストレスと違い、前向きにチャレンジするような能動的なストレスでは、免疫が活性化されるとも言われています。高齢者の生活を見ればわかるでしょう。

70代以降も仕事の第一線でバリバリと働いている方や老人会の役員などで町内のもめごとに対処しているような方は、いくつになっても体も脳神経系も衰えません。外に出るので服装にも気を遣いますし、体を動かしますから見た目も若々しく、毎日いろいろな人と出会い、おしゃべりをすることでホルモンも活性化されます。

もちろんNK細胞の力も衰えません。一方、仕事を引退して誰もが羨む悠々自適の暮らしを決め込んでいる人もいます。1日中テレビや読書三昧で、好きなときに好きな物を食べ、不安なことも不愉快なことも叫切ない。実はこういう人ほど、病気になって寝込んだり、うつになったり、認知症になったりしてしまうのです。適度なストレスがあったほうがよい、というのは、免疫力の観点からも言えることなのです。