ガンをも撃退するナチュラルキラー細胞

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常に体内の安全を守るパトロール隊「免疫力」に勝る薬はない

さて、T細胞・B細胞という軍の本隊とは別に、陸軍でも海軍でもない遊撃パトロール隊のようなものがいます。それがNK細胞。指令も軍事訓練も必要なく、生まれながらにして殺傷能力を持つため、ナチュラル・キラー(NK)細胞と呼ばれるものです。

1970年代半ばにNK細胞を発見した人で、こう名づけられました。その頃は、リンパ球にはT細胞とB細胞しかないと考えられていましたがそのほかにがん細胞をやっつける免疫細胞があるだろうと予測し、発表しました。

そして、私たちの研究でそれを証明したのです。N K細胞は、リンパ球の約20%を占めています。これはおもに、体内にがん細胞がないかパトロールし、発見するやいなや攻撃します。人間の体は、毎日細胞が分裂して生まれ変わっています。

その数、1日約1兆個。新しい細胞の中には、遺伝子の突然変異で次の細胞を正常につくり出せない出来損ないの細胞が5000~6000個できてしまいます。

お金で考えれば1 兆円のうちの5000円程度ですから大したことはないのですが、これががん細胞の芽になり、放っておけばがんに成長します。つまり、誰でも体内で、毎日5000~6000個のがん細胞の芽が生み出されているのです。

それでなぜすべての人ががんになるわけではないのかと言えば、このがんの芽が「不良」程度のうちに、パトロールしているNK細胞が片っばしから潰しているからです。NK細胞が元気であれば、毎日できるがん細胞は撲滅されて増殖しません。

だから、「不良」は「暴力団(がん)」にならないのです。この不良と同じような顔つきをしているのが、外から侵入したウィルスに感染した細胞です。これもNK細胞が真っ先に潰してくれることがわかっています。

ですからNK細胞が強いと、風邪もひかないし、がんにもならない。NK細胞を活性化すれば、免疫力が高まると言えるわけです。

がんになりやすい人、なりにくい人の違い

埼玉県立がんセンターが、40~80歳の男女合わせて約3 500人の住民を対象に11年間(1 986~1997年) 追跡した調査があります。これらの人々のNK細胞を調べて、そのNK細胞の活性を「高」「中」「低」の3 グループに分けて、発がん率の違いを調べたのです。その結果、「高」のグループががんになった率は、男性6 %、女性2%。「中」では、男性7%、女性2%。「低」では、男性9%、女性4%。いずれも、NK活性が低いほうが、明らかに発がん率が高かったのです。

年齢や食習慣などの影響を除くと、NK活性が「低」の人は、「高」「中」のグループの人に比べると、男性は約1.7倍、女性は約2倍、がんになりやすいということになりました。このような調査からも、NK活性が低い人はがんになりやすいということが明らかになったのです。

ガンの予防対策と増殖抑制作用を高める