アレルギーが起こるメカニズム

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免疫力が暴走してしまう

免疫は、非常によくできたシステムで、私たちには欠かせない防衛システムすが、1つ困ることがあります。何らかの事情でブレーキ役のサプレッサーT細胞が壊れてしまうことです。

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すると、リンパ球という軍隊が強力になりすぎ、外敵である細菌やウィルスだけではなく、自分の細胞や組織を敵視して、クーデターを起こしてしまいます。

免疫系が、自分の細胞のある成分を「非自己」と誤認し、正常な細胞を攻撃してしまう。そうして引き起こされるのが、「自己免疫疾患」です。この自己免疫疾患には、関節リウマチや全身性エリテマトーデスに代表される膠原病や、重症筋無力症、バセドゥ病などがあります。いずれも難病と呼ばれるものです。

いずれも難病と呼ばれるものですが、なぜ暴走するほど免疫が活性化するのか、原因はよくわかっていません。

ただ、たとえば関節リウマチの人を診察すると、関節に非常にたくさんのリンパ球が集まっていることが確認できます。このように、自分の体を構成するものを抗原としてとらえ、攻撃してしまうのが自己免疫疾患ですが、外部から侵入してきた抗原に対して過剰な免疫反応を起こしてしまうのが「アレルギー」です。

これも何らかの原因でサブレッサーT細胞が機能しなくなっているのです。その代表が、花粉症やアトピー性皮膚炎、アレルギー性胃腸炎、気管支ぜんそく、それに食物アレルギー、薬物アレルギーなどがあります。

サプレッサーT紳胞の不具合は困ったものですが、他の細胞としてはいつもと同じ働きをしているのに、体にとって利益になることをすれば、それは「免疫」と呼ばれます。逆に体にとって不利益なことをすれば、それは「疾患」とか「アレルギー」と呼ばれるのです。

花粉症になる人、ならない人

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免疫のメカニズムが狂うとアレルギーになるという話をしましたが、たとえばスギ花粉症というのは、非常に精神・神経状態の影響を受けやすいものです。花粉症は、スギなどの植物の花粉に含まれるたんばく質に対して免疫反応が過剰に起こってしまうアレルギーです。

花粉が体内に入ると、リンパ球が反応して抗体をつくります。次に花粉が体内に入ってきたとき、その抗体と花粉が反応してヒスタミンという物質を出します。このヒスタミンが作用して、大量の鼻水を出したり、炎症作用を起こしたりするのです。

ヒスタミンの働きを止めるのが、アドレナリンです。アドレナリンとは、ストレスがあったり、怒ったりしたときに出てくるホルモンです。ですから、緊張したときなどには花粉症の症状は止まってしまうのです。

花粉症のタレントやアナウンサーが、テレビの本番中に鼻水を垂らしているところなど見たことがないでしょう。本番中の緊張感で、アドレナリンがどんどん分泌され、そのときだけ症状がピタリと止まるのです。

つまり、いつも緊張して気合が入っている人は、花粉症にはなりにくいと言えるでしょう。また、アドレナリンが出やすい人(興奮しやすい、喧嘩早い、短気) も、花粉症が少ないようです。

さらに、興奮しやすい幼児は、アドレナリンの分泌がよいためか花粉症の症状はなかなか出ません。きっと国会で興奮してもめている政治家たちも、花粉症になどならないでしょう。

集団でストレスを感じると、花粉症の人が少なくなる、という現象もあります。1995年は、前年の猛暑の影響でスギ花粉の飛散量が例年の何倍にもなるだろうと予測され、製薬会社は抗アレルギー薬を大量に準備しました。

実際に大量の花粉が飛散したのですが、花粉症の人は激減し、薬も少ししか売れませんでした。原因は、この年1月の阪神淡路大震災と3月の地下鉄サリン事件によって、一種の集団ストレスの状態になったからだと考えられます。

そのくらい花粉症というものは、神経の緊張状態と関連しているのです。つまり、花粉症が見られるのは、戦争をしている国ではなく、平和な国だということです。

ところで、スギ花粉症について補足すべきことがあります。それは、花粉だけでなく排気ガスと混ざると発症しやすいということです。花粉症の原因がスギの花粉とわかっていながら、なぜスギの木の多い地方ではなく都会に多いかというと、花粉と排気ガスに含まれる窒素酸化物などが混ざることにより、抗体ができやすくなり、アレルギーにもなりやすいからです。

日光杉並木街道のある日光市では、1970年代からスギ花粉症調査を続けていて、年々花粉症が増加しています。しかも、山中ではなく国道沿いで多発しており、その増加曲線は車両の交通量に比例しているのです。

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