「腸」と「免疫力」深い関係性

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お腹の中でも「快楽ホルモン」が分泌されていた

免疫の力が私たちにとっていかに大事か、おわかりいただけたと思いますが、その鍵を握る臓器は「腸」です。

腸は、脳からの指令を受けなくとも、胃から下りてきた食べ物の成分を分析して他の臓器から一番合う分解酵素を出させ、勝手に食物を消化吸収していきます。

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もし有毒なものが入ってきたら、多量の腸液を分泌して便をゆるくし、体外に排出しようとします。これが下痢であり、体の大事な防衛反応です。

そして腸は、一番異物に接触しやすい場所なのです。寒い時期になると子どもがよくかかる「嘔吐下痢症」と呼ばれるものは、ロタウィルスやノロウィルスによって引き起こされます。

これは口や鼻から入り、胃の粘膜に感染するとあっという間に増殖して腸に達してしまうのです。腸管の粘膜やその周囲のリンパ管にはリンパ球がたくさん集まり、免疫系が活躍しています。腸の動きが速ければお腹が痛み、動きが鈍ければ便秘になります。腸の動きがスムーズだと快適な腸内環境というわけでセロトニンというホルモンが出ます。

セロトニンは人を快活にし、このホルモンが不足すると、感情にブレーキが利かなくなり、うつ病やひきこもりなどになりやすいと言われます。これは脳から出ていますが、腸管からも出ているのです。

セロトニンが足りないときには「セロトアルファ」

つまり、腸の状態がいいと人は機嫌がよくなり、NK細胞が活性化されて免疫力が高まります。逆にイライラなどマイナスのストレスが重なると、腸管の動きが悪くなり、胃潰瘍や十二指腸潰瘍になったりします。

腸が若く健康であるほど免疫力が高く、腸年齢が若いほど脳年齢も若いという調査結果もあります。このように、腸と脳と免疫はリンクしているのです。一見、脳にも心にも関係がないように見える腸ですが、免疫力との関わりから見れば、ストレスの影響を強く受けていることがよくわかります。昔から「はらわたがちぎれるほどの悲しみ」「断腸の思い」「はらわたが煮えくり返る」という言葉がありますが、本当によく言ったものです。

「腸年齢」が若い人ほど、肌が美しい

病気にななっていなくても、腸の状態がいいか悪いかを知るバロメーター は、おならの匂いです。おならが臭かったり、所かまわず出たりするようでしたら、腸内に悪玉菌が増えているサイン。

腸内で悪玉菌が増えると、発酵ではなく腐敗が進みます。腸内の細菌は約500種類ありますが、それらは善玉菌・悪玉菌・日和見菌の3つに分けられます。日和見菌とはその名の通り、善玉菌が多いときには善玉菌の味方をし、悪玉菌が多いときには悪玉菌の味方をするという、どちらにもなり得る腸内細菌です。

悪玉菌には、大腸菌・ウェルシュ菌・クレブシュラなどがありますが、たんばく質を腐敗させて有害物質を発生させ、病気を引き起こします。

悪玉菌が増えると、便もおならも臭くなり、便秘がちになって大腸がんもできやすくなるのです。

一方、善玉菌は、ビタミン・ホルモン・アミノ酸を生成し、腸内の働きを整えて下痢や便秘を防ぎます。また、悪玉菌の活動を抑え、悪玉菌が生み出した有害物質を中和します。腸内細菌のバランスを考えたとき、理想の姿は「悪玉菌がいない」状態。しかし、現実的にはそれは無理です。

善玉菌に比べて悪玉菌のほうが、はるかに生命力が強く、種類も多いからです。もっとも理想状態に近いのが、生まれたばかりの赤ちゃんです。そのお腹は善玉菌だらけ。だから赤ちゃんの便は臭くなく、甘酸っぱい匂いがするのです。

それが年齢とともに善玉菌がどんどん減り、悪玉菌が増えていきます。悪玉菌がはびこる腸内では、腐敗物質、有害物質が次々とつくり出されて腸壁から吸収され、血液を通して全身に運ばれます。それが肌荒れやくすみの原因となり、肌から発散されれば加齢臭となります。

腸内細菌について長年以上研究を続けている先生の開発による「腸年齢チェックシート」を用いた調査結果があります。その結果、腸年齢が若い人ほど、

  1. 肌の悩みが少ない。
  2. 肌や脳の衰えを感じることが少ない。
  3. 脳の老化現象も顕在化しにくい。

というものでした。腸内環境を整えると肌のアンチエイジングになるということです。

女性は、便秘になると肌が荒れたり肌のハリやツヤがなくなったりすると小うことはよく指摘されますが、美肌のためには、外側からあれこれ手入れをする前に、まず腸の状態を若々しくすることが大切だとわかります。

歳をとればとるほど腸内環境に気をつけて、善玉菌を増やして悪玉菌を排除していくようにしなければなりません。この悪玉菌を抑えて腸の不快な症状を手っ取り早く解消するのが、善玉菌である乳酸菌です。

ある老人ホームで利用者に毎日、乳酸菌をたくさん食べてもらったら、館内に設置している臭気の感知計の数字がすご勢いで下がったといいます。また、老人達のおむつを替える回数が減り、便も臭くなくなったという報告があったということです。

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働き過ぎも「体のパワー」を下げてしまう

では、どうすればNK細胞を活性化できるか、何がNK細胞を弱めてしまうのかについては、まずNK細胞の特徴を知っておく必要があります。

NK細胞が軍の本隊であるT細胞やB細胞と大きく違う点は、年齢の影響を受けることです。普段は休んでいて有事の際だけ出動するT細胞、B細胞はどのくらい生き延びるのかと言えば、おそらく人間が200歳くらい生きてもびくともしないだろうと言われています。100歳くらいになれば心臓やその他の臓器はガタガタになりますが、

免疫本隊はまだまだ丈夫だというのです。年齢にかかわらず軍隊そのものは力を保持しているので、ワクチンを打つという「軍事訓練」は、何歳になっても有効です。90歳、100歳といった高齢の方にインフルエンザのワクチンをして効果があるのはこのためです。

このように、T細胞、B細胞は、年齢という条件に影響されません。さらに、悲しいとか嬉しいといった感情に左右されることもありません。気分が沈んで何もやる気が起こらなくても、T細胞やB細胞の働きが悪くなるわけではないのです。

一方、NK細胞は加齢とともに弱くなります。生まれつきNK活性(NK細胞の活性度)が高い人、低い人の違いもありますが、一般に、だいたい60歳を過ぎれば、年齢とともにNK活性は下がっていきます。

NK活性が低い人は、病気の発症率が高く、お亡くなりになる率が高いせいか、お元気な高齢者はNK活性の高い方が多いようです。NK細胞に影響を与えるのは、年齢だけではありません。

日内リズムの変動に非常に弱い。日内リズムとは、昼は交感神経が優位に働くので仕事に向き、夜は副交感神経が優位に働くので休息に向く、というリズムです。夜遅くまで働きすぎると、いつまでも交感神経のアクセルを踏みっばなしの状態になり、リンパ球そしてNK細胞が元気をなくしていきます。

もっともいけないのは、生活リズムが不規則なこと。あるときは朝型だつたり、またあるときは夜型になったり、と生活リズムがバラバラでは、NK細胞の働きが途端に不安定になります。

免疫力をコントロールする生活の基本

もう1つ大事なことは、NK細胞は精神的な影響をとても受けやすいということ。ストレスを感じると交感神経が刺激されて、緊張します。すると体内には、ストレス反応で有名な「アドレナリン」や「ノルアドレナリン」が分泌されます。

このホルモンは、心拍数や血圧を上げるもので、動物が敵や獲物に遭遇したとき、「敵だ、逃げろ!」「戦え!」「獲物を追いかけろ! 」という反応を全身に引き起こすものです。

それだけ強いホルモンですから、毒性もあるわけです。いつもビリピリ、カリカリ、イライラしていると、交感神経が緊張しっぱなし、アドレナリン系のホルモンが分泌されっばなしになるので、体内を毒素がめぐりNK活性も阻害されてしまいます。

怒りや不安といったストレスのほかにも、後悔や悲嘆もNK細胞の力を弱めます。いつまでもクヨクヨしていたり、マイナス思考が強かったりする人は、NK細胞が弱まっていると言えます。

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もっとも大きなストレスは、悲しみのストレスです。ラットの動物実験で、子育てをしている母ラットから子どもを取り上げてしまうと、母ラットのNK 活性が一気に低下することが確かめられています。

これは人間も同じで、子どもを失ったストレス、愛する人を失ったストレスがもっともNK活性を落としてしまうのです。ラットの実験では、元気なラットを、ストレスによって元気をなくしたラットのそばに置くと、元気なほうのラットのNK活性まで落ちてしまいます。

ただし、悲しみを伴う受動的なストレスと違い、前向きにチャレンジするような能動的なストレスでは、免疫が活性化されるとも言われています。高齢者の生活を見ればわかるでしょう。

70代以降も仕事の第一線でバリバリと働いている方や老人会の役員などで町内のもめごとに対処しているような方は、いくつになっても体も脳神経系も衰えません。外に出るので服装にも気を遣いますし、体を動かしますから見た目も若々しく、毎日いろいろな人と出会い、おしゃべりをすることでホルモンも活性化されます。

もちろんNK細胞の力も衰えません。一方、仕事を引退して誰もが羨む悠々自適の暮らしを決め込んでいる人もいます。1日中テレビや読書三昧で、好きなときに好きな物を食べ、不安なことも不愉快なことも叫切ない。実はこういう人ほど、病気になって寝込んだり、うつになったり、認知症になったりしてしまうのです。適度なストレスがあったほうがよい、というのは、免疫力の観点からも言えることなのです。

ガンをも撃退するナチュラルキラー細胞

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常に体内の安全を守るパトロール隊「免疫力」に勝る薬はない

さて、T細胞・B細胞という軍の本隊とは別に、陸軍でも海軍でもない遊撃パトロール隊のようなものがいます。それがNK細胞。指令も軍事訓練も必要なく、生まれながらにして殺傷能力を持つため、ナチュラル・キラー(NK)細胞と呼ばれるものです。

1970年代半ばにNK細胞を発見した人で、こう名づけられました。その頃は、リンパ球にはT細胞とB細胞しかないと考えられていましたがそのほかにがん細胞をやっつける免疫細胞があるだろうと予測し、発表しました。

そして、私たちの研究でそれを証明したのです。N K細胞は、リンパ球の約20%を占めています。これはおもに、体内にがん細胞がないかパトロールし、発見するやいなや攻撃します。人間の体は、毎日細胞が分裂して生まれ変わっています。

その数、1日約1兆個。新しい細胞の中には、遺伝子の突然変異で次の細胞を正常につくり出せない出来損ないの細胞が5000~6000個できてしまいます。

お金で考えれば1 兆円のうちの5000円程度ですから大したことはないのですが、これががん細胞の芽になり、放っておけばがんに成長します。つまり、誰でも体内で、毎日5000~6000個のがん細胞の芽が生み出されているのです。

それでなぜすべての人ががんになるわけではないのかと言えば、このがんの芽が「不良」程度のうちに、パトロールしているNK細胞が片っばしから潰しているからです。NK細胞が元気であれば、毎日できるがん細胞は撲滅されて増殖しません。

だから、「不良」は「暴力団(がん)」にならないのです。この不良と同じような顔つきをしているのが、外から侵入したウィルスに感染した細胞です。これもNK細胞が真っ先に潰してくれることがわかっています。

ですからNK細胞が強いと、風邪もひかないし、がんにもならない。NK細胞を活性化すれば、免疫力が高まると言えるわけです。

がんになりやすい人、なりにくい人の違い

埼玉県立がんセンターが、40~80歳の男女合わせて約3 500人の住民を対象に11年間(1 986~1997年) 追跡した調査があります。これらの人々のNK細胞を調べて、そのNK細胞の活性を「高」「中」「低」の3 グループに分けて、発がん率の違いを調べたのです。その結果、「高」のグループががんになった率は、男性6 %、女性2%。「中」では、男性7%、女性2%。「低」では、男性9%、女性4%。いずれも、NK活性が低いほうが、明らかに発がん率が高かったのです。

年齢や食習慣などの影響を除くと、NK活性が「低」の人は、「高」「中」のグループの人に比べると、男性は約1.7倍、女性は約2倍、がんになりやすいということになりました。このような調査からも、NK活性が低い人はがんになりやすいということが明らかになったのです。

ガンの予防対策と増殖抑制作用を高める

たとえば、結核菌にワクチンは効かない

これまで見てきたように、リンパ球のT 細胞、B紳胞が免疫の本隊ですが、時々軍事訓練をして戦闘能力を高めます。これがワクチンですね。

ワクチンとは、弱い病原体を体内に注入することで体内に抗体をつくり、感染症にかかりにくくすること。ワクチンを仮想敵国としてその方向に一斉に攻撃する訓練をするので、いざ本物のウィルスが侵入してきた場合、即座に潰せるわけです。こうしたウィルスのような小さいものに対しては、免疫はとても利口です。

以前、中国で新型感染症サーズが流行り、たくさんの死者を出して世界中が恐々としたことがあります。サーズウィルスが肺に入り、それを排除しようと集まったリンパ球で肺がいっぱいになり、呼吸不全を起こしたことが原因でした。このリンパ球をいったん肺の外に出して呼吸ができるようにして、せめて5 日間生きられれば、人の体には必ず抗体ができます。

抗体ができればウィルスは中和されるので、それほどうろたえる必要はなかったのです。2009 年には、メキシコで豚由来のインフルエンザウィルスにより多数の死者が出るという「新型インフルエンザ」が世界的に流行しました。日本でも恐ろしい情報が飛び交いましたが、新型インフルエンザによる死亡率は、諸外国の中でも非常に低かったのです。

免疫の仕組みを知らない厚生労働省の役人や政治家が大騒ぎをした感があります。その後、新型インフルエンザの扱いは、通常の季節性インフルエンザに切り替えられました。こうていえき日本では、2010年に宮崎県で牛と豚の口蹄疫が流行して社会問題になりましたが、これも同様。口蹄疫の病原体は、小児麻痔を引き起こすポリオウイルスに近いもくちくのですが、今やポリオという病気はワクチンでほとんど駆逐されつつあります。そのくらい免疫が有効なのです。

ですから、4 月に宮崎県で口蹄疫が発生したとき、すぐにワクチンを打っておけばよかったのに、グズグズしているうちに感染が拡大してしまったのです。口蹄疫のウィルスなど大したことはないので、抗体陽性の牛を食べても問題ありません。治った牛は生かしておいても問題ない。それを何十万頭も殺してしまったわけです。

このように免疫は小さいウィルスに対しては有効に働きますが、相手が大きくなるとバカになって役に立ちません。

たとえば、結核菌はウイルスの何億倍も大きいので、ワクチンは効きません。BCG の予防接種は結核のワクチンと考えられていますが、あんなものに効果はありません。ワクチンを打ったからといって、そばで結核の人がゴホゴホと咳をすれば、簡単に飛沫感染してしまいます。

こういった大きな細菌に対してはどうするかというと、我々は抗生物質という武器を持っているわけです。よくがん細胞に対するワクチンはできないのか、と聞かれますが、いろいろ研究は進められているものの、がんはウィルスとは違い、相手も大きく、そう簡単に効果のあるワクチンがつくれません。T細胞やB 細胞という軍隊は、がん細胞に対しては意外と頼りにならないのです。

アレルギーが起こるメカニズム

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免疫力が暴走してしまう

免疫は、非常によくできたシステムで、私たちには欠かせない防衛システムすが、1つ困ることがあります。何らかの事情でブレーキ役のサプレッサーT細胞が壊れてしまうことです。

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すると、リンパ球という軍隊が強力になりすぎ、外敵である細菌やウィルスだけではなく、自分の細胞や組織を敵視して、クーデターを起こしてしまいます。

免疫系が、自分の細胞のある成分を「非自己」と誤認し、正常な細胞を攻撃してしまう。そうして引き起こされるのが、「自己免疫疾患」です。この自己免疫疾患には、関節リウマチや全身性エリテマトーデスに代表される膠原病や、重症筋無力症、バセドゥ病などがあります。いずれも難病と呼ばれるものです。

いずれも難病と呼ばれるものですが、なぜ暴走するほど免疫が活性化するのか、原因はよくわかっていません。

ただ、たとえば関節リウマチの人を診察すると、関節に非常にたくさんのリンパ球が集まっていることが確認できます。このように、自分の体を構成するものを抗原としてとらえ、攻撃してしまうのが自己免疫疾患ですが、外部から侵入してきた抗原に対して過剰な免疫反応を起こしてしまうのが「アレルギー」です。

これも何らかの原因でサブレッサーT細胞が機能しなくなっているのです。その代表が、花粉症やアトピー性皮膚炎、アレルギー性胃腸炎、気管支ぜんそく、それに食物アレルギー、薬物アレルギーなどがあります。

サプレッサーT紳胞の不具合は困ったものですが、他の細胞としてはいつもと同じ働きをしているのに、体にとって利益になることをすれば、それは「免疫」と呼ばれます。逆に体にとって不利益なことをすれば、それは「疾患」とか「アレルギー」と呼ばれるのです。

花粉症になる人、ならない人

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免疫のメカニズムが狂うとアレルギーになるという話をしましたが、たとえばスギ花粉症というのは、非常に精神・神経状態の影響を受けやすいものです。花粉症は、スギなどの植物の花粉に含まれるたんばく質に対して免疫反応が過剰に起こってしまうアレルギーです。

花粉が体内に入ると、リンパ球が反応して抗体をつくります。次に花粉が体内に入ってきたとき、その抗体と花粉が反応してヒスタミンという物質を出します。このヒスタミンが作用して、大量の鼻水を出したり、炎症作用を起こしたりするのです。

ヒスタミンの働きを止めるのが、アドレナリンです。アドレナリンとは、ストレスがあったり、怒ったりしたときに出てくるホルモンです。ですから、緊張したときなどには花粉症の症状は止まってしまうのです。

花粉症のタレントやアナウンサーが、テレビの本番中に鼻水を垂らしているところなど見たことがないでしょう。本番中の緊張感で、アドレナリンがどんどん分泌され、そのときだけ症状がピタリと止まるのです。

つまり、いつも緊張して気合が入っている人は、花粉症にはなりにくいと言えるでしょう。また、アドレナリンが出やすい人(興奮しやすい、喧嘩早い、短気) も、花粉症が少ないようです。

さらに、興奮しやすい幼児は、アドレナリンの分泌がよいためか花粉症の症状はなかなか出ません。きっと国会で興奮してもめている政治家たちも、花粉症になどならないでしょう。

集団でストレスを感じると、花粉症の人が少なくなる、という現象もあります。1995年は、前年の猛暑の影響でスギ花粉の飛散量が例年の何倍にもなるだろうと予測され、製薬会社は抗アレルギー薬を大量に準備しました。

実際に大量の花粉が飛散したのですが、花粉症の人は激減し、薬も少ししか売れませんでした。原因は、この年1月の阪神淡路大震災と3月の地下鉄サリン事件によって、一種の集団ストレスの状態になったからだと考えられます。

そのくらい花粉症というものは、神経の緊張状態と関連しているのです。つまり、花粉症が見られるのは、戦争をしている国ではなく、平和な国だということです。

ところで、スギ花粉症について補足すべきことがあります。それは、花粉だけでなく排気ガスと混ざると発症しやすいということです。花粉症の原因がスギの花粉とわかっていながら、なぜスギの木の多い地方ではなく都会に多いかというと、花粉と排気ガスに含まれる窒素酸化物などが混ざることにより、抗体ができやすくなり、アレルギーにもなりやすいからです。

日光杉並木街道のある日光市では、1970年代からスギ花粉症調査を続けていて、年々花粉症が増加しています。しかも、山中ではなく国道沿いで多発しており、その増加曲線は車両の交通量に比例しているのです。

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免疫に必須の「リンパ球」について

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岡じリンパ球でも役割は大きく違う!

白血球のうち約35 %を占めるこのリンパ球が、実は免疫の主役です。よく、よリンパ腺やリンパ節が腫れると言うように、体内には血管とは別にリンパ管が網の目のように張り巡らされて、体を守っていることは知られていますね。

骨髄や胸腺でつくられたリンパ球は、リンパ節や牌臓といった休憩所に出てきてリンパ管に流れ、体内をぐるぐる巡っているのです。リンパ球はさらにT細胞、B細胞、N K細胞などと分かれます。

これらを私はよく畢隊にたとえて説明しています。T細胞は陸軍のような地上部隊。ウィルスに感染した細胞を見つけると突撃していって戦い、細胞ごと破壊していきます。

B細胞はミサイルを積んだ海上艦隊。侵入してきた異物に対して、次々とミサイルを製造しては発射します。病気をもたらすウィルスのような異物を抗原と言い、これに反応して体内では、この抗原だけに結合してその毒素を打ち消してしまうたんばく質がつくられます。これを抗体と言います。

B細胞は、この抗体を大量につくって敵に向かって発射し数値で病気があるかどうかがわかるからです。白血球傲が異常に増えている場合は、感染によって体内に細菌が侵入しているか、白血病などの病気によって増えすぎているためです。

病気であればすぐに治療が必要で、体内の炎症が治まれば白血球数も正常に戻ります。白血球数が少ない場合は、体の防衛反応が低下して細菌に感染しやすく、病気になりやすい状態です。抗がん剤や薬の副作用によっても白血球数は減少します。

白血球数が適正だと、なぜ体を防衛できるのでしょうか。白血球は、約5%のマクロファージ、約60%の顆粒球、約35%のリンパ球で構成されています。

このトリオが協力し合って体を守る力が免疫力です。マクロファージとは、免疫系で最初の仕事をする司令塔のようなものです。macro(大きい)・phage(食べ尽くすもの) =大食細胞の意味を持つように、異物が入ってくると、食べるように細胞内に取り込んで、無毒化して外に出したり、異物の情報を他の免疫細胞に伝えて攻撃させたりする働きがあります。

進化の過程で最初にできたマクロファージは、今も原始的なアメーバ状をしています。このマクロファージから機能が分かれてできたのが、顆粒球とリンパ球です。顆粒球は、マクロファージの食べる機能を発展させたもので、細菌などの異物を見っけるとすぐに取り込んで処理しますが、そのとき自分も自爆してしまいます。残っうみた死骸が膿です。

また、自爆する際には大量の活性酸素が放出されます。活性酸素は体内で処理される仕組みがありますが、顆粒球が増えすぎたり、処理が間に合わなかったりすると、胃潰瘍や十二指腸潰瘍やがんの引き金になります。

この顆粒球が処理できるのは、ブドウ球菌や大腸菌といった大きな細菌類です。顆粒球ではカバーしきれないウィルスなどの小さな異物を処理するのが、リンパ球です。ところで、細菌とウィルスの違いをご存じですか。細菌には細胞があり、細胞分裂によって自己増殖していきますが、ウィルスはもっと微小なもので細胞がなく、遺伝子だけがよその細胞に入り込んで寄生し、増殖していくのです。

ウィルスは細胞がないので無生物であるとも言えるし、遺伝子があって他の細胞を利用して増えていくという点では生物であるとも言えるのです。

さて、顆粒球が普段から血流に乗って全身を監視し、異変があるとすぐに駆けつけるのに対し、リンパ球はリンパ節の中で眠っていて、マクロファージから指令があると働き出すので、少し時間がかかります。そして指令を受けると何度も分裂をくり返し、数千にも増えて異物と闘うのです。

体を守る防衛機能はどうやって働くか

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病気をブロックする「免疫の最前線」

風邪をひくと、くしゃみ咳や痰が出ますが、外部からの病原体を包み込んで体外に出そうとする働きで、免疫の最前線での活動と言えます。

これは、口の中、鼻の中、消化管の粘膜から分泌される唾液や粘液の第一の働き。たとえば咳は、のどの防衛線を通り抜けて気管を攻撃し始めた病原体を、ものすごい気流で一気に吐き出そうとする防衛反応です。

こうして免疫システムが作動し始めると、熱も出てきます。咳も発熱も、体を防衛しようとする反応ですから、その段階で薬を使って無理に押さえ込もうとすると、病原体をうまく排出できずにかえって風邪が長引くことになります。

唾液や粘液のもう1つの働きは、粘膜に付着した病原体を殺すことです。粘液は乾燥に弱いため、冬には分泌量が低下します。粘液が少ないと病原体の侵入を防ぐことができなくなり、風邪をひきやすくなるのです。

また唾液は、緊張したりストレスを感じたりしても分泌が減ってしまいます。病原体がこうした第1の防御壁を突破して体内に入り込むと、免疫の本体が動き出すことになります。

外敵を一気に退治してくれる「白血球」

免疫の仕事を担っているのは、血液に含まれる白血球です。健康診断などで血液検査を受けると、必ず白血球数が調べられますね。白血球数の数値で病気があるかどうかがわかるからです。

白血球傲が異常に増えている場合は、感染によって体内に細菌が侵入しているか、白血病などの病気によって増えすぎているためです。病気であればすぐに治療が必要で、体内の炎症が治まれば白血球数も正常に戻ります。

白血球数が少ない場合は、体の防衛反応が低下して細菌に感染しやすく、病気になりやすい状態です。抗がん剤や薬の副作用によっても白血球数は減少します。白血球数が適正だと、なぜ体を防衛できるのでしょうか。

白血球は、約5%のマクロファージ、約60%の顆粒球、約35%のリンパ球で構成されています。

このトリオが協力し合って体を守る力が免疫力です。マクロファージとは、免疫系で最初の仕事をする司令塔のようなものです。macro(大きい)・phage(食べ尽くすもの) =大食細胞の意味を持つように、異物が入ってくると、食べるように細胞内に取り込んで、無毒化して外に出したり、異物の情報を他の免疫細胞に伝えて攻撃させたりする働きがあります。

進化の過程で最初にできたマクロファージは、今も原始的なアメーバ状をしています。このマクロファージから機能が分かれてできたのが、顆粒球とリンパ球です。顆粒球は、マクロファージの食べる機能を発展させたもので、細菌などの異物を見っけるとすぐに取り込んで処理しますが、そのとき自分も自爆してしまいます。

残った死骸が膿です。また、自爆する際には大量の活性酸素が放出されます。活性酸素は体内で処理される仕組みがありますが、顆粒球が増えすぎたり、処理が間に合わなかったりすると、胃潰瘍や十二指腸潰瘍やがんの引き金になります。

この顆粒球が処理できるのは、ブドウ球菌や大腸菌といった大きな細菌類です。顆粒球ではカバーしきれないウィルスなどの小さな異物を処理するのが、リンパ球です。ところで、細菌とウィルスの違いをご存じですか。細菌には細胞があり、細胞分裂によって自己増殖していきますが、ウイルスはもっと微小なもので細胞がなく、遺伝子だけがよその細胞に入り込んで寄生し、増殖していくのです。

ウィルスは細胞がないので無生物であるとも言えるし、遺伝子があって他の細胞を利用して増えていくという点では生物であるとも言えるのです。さて、顆粒球が普段から血流に乗って全身を監視し、異変があるとすぐに駆けつけるのに対し、リンパ球はリンパ節の中で眠っていて、マクロファージから指令があると働き出すので、少し時間がかかりま

誰もが持っているすごいパワー

世の中にはいろいろな健康法がありますが、それを実践しているか実践していないかにかかわらず、健康状態は人によってさまざまです。

頻繁に風邪をひいて学校や仕事を休む人もいれば、周りがみなインフルエンザにかかってもまったく伝染らない人もいます。

ちょっとしたことですぐお腹をこわす人もいれば、一緒に食事をした人たちが食中毒になっても一人平気な人もいます。

中高年になれば、同じ年齢でも、老けている人、若々しい人の差は一目瞭然です。その違いは、1つ1つの臓器の性能によるのでしょうか? 持って生まれた遺伝子によるのでしょうか?

いいえ、それが免疫力の違いです。人の健康と著さと寿命は、どれだけ免疫力が高いかにかかっているのです。この免疫とは本来、誰もが持っている力。ウィルスや細菌やがん細胞など、体の中に異物が侵入したり異質な細胞ができたりしたとき、それを攻撃して排除し、体を守る働きです。

このように言うと、動物が進化するときや危機にさらされたときなど、特別な場合に働くように思われますが、私たちの体は常に敵となる菌と闘っています。それでも問題なく生きていられるのは、免疫が常に機能しているから。その力が失われたら、とたんに体は負けてしまいます。

免疫力とは、生命力にほかならないのです。免疫力を上手に活用することで、病気や老化を防ぎ、健康で長寿な体をつくることができます。つまり、免疫力を高めることこそ、「健康長寿」の秘訣なのです

免疫システムは、「会社の重役」のような存在

免疫力を最大限に活かすために、まず免疫とはどのような仕組みになっているのかを理解していただきたいと思います。やや小難しい詰もありますが、知っておくことで非常に役立ちます。

心臓という臓器が止まると人はすぐ死んでしまいますが、免疫系が止まるとどうなるでしょう。たとえば人は一定量の放射線を浴びてしまうと、心臓などはそのままで免疫系だけが壊れてしまいます。このとき即死はしませんが、ウィルスや細菌に侵されて感染症にかかり、生き延びることができません。

ただ、免疫系というのは、「これが免疫をつくり出す臓器です」というように実体を見せることができません。免疫を司るのは、人間の体の特定の器官ではなく、複数の器官や組織が連携し合って構成する高度なネットワークと言えるからです。

免獲機構がない生物、たとえばミミズやナメクジを考えてみましょう。ミミズにもナメクジにもリンパ球がありません。これらと人間の大きな違いは、「体を構成する細胞の種類や数の違い」です。

たとえて言えば、ラーメン屋台と大きなデパートといった違いになります。屋台なら、店主が一人で材料を仕入れてつくつて売って片づけるだけ。いたってシンプルです。一方、デパートなら、膨大な商品を仕入れて仕分けして管理して...すべてが複雑です。

ですから各フロア・各区画を仕切る売り場担当のほかに、デパート全体を統括する管理者が必要になります。その管理者は表には出てきませんが、各区画のバランスを考えながらデパート全体の売上を上げようと、裏で走り回っているわけです。

なかでもデパートの経営を担うのが、神経系、内分泌(ホルモン)系、免疫系という3人の重役です。売り場からはまったく見えないこの3人は、互いに連携、協力し合ってデパートを支えています。各売り場が多少赤字を出しても何とかなりますが、

3人の重役の1人でも倒れてしまえば、デパートは倒産の危機です。人間の体も、細胞群が複雑に分かれており、各臓器がうまく連携して働くためには、表からは見えないこの3 つの高度なシステムが、重要な役割を果たしているのです。