多くの日本人が糖質依存症状
現代人の多くは糖質依存症にです。というと少し驚かれる方もいるかもしれませんが、これは間違いありません。糖質依存症とは、毎食に米・パン・麺が欠かせず、1日3食のほかにも間食で糖質がほしくなる状態とでもいえばいいでしょうか。特に日本人は、食事で主食を欠かさない習慣があるのでやっかいです。
実際、糖尿病の方に米やパンを食べるのをやめましょうと説明しても、理解してもらえないことが少なくありません。例外なく「先生、カロリーは不足しませんか?」と不安をもらします。
しかし、心配は無用です。人類が誕生して約400万年の歴史の中で、穀物の栽培が始まつたのはわずか1万年前のこと。それ以前の狩猟時代は安定して糖質を得られなかったので、人間は脂質やたんばく質を主たる栄養としてきました。つまり、人間には本来、糖質制限食のほうが適しているのです。
また、糖質制限食によって血糖が減ると、脳の働きが低下するのではないかという心配もよく聞かれます。しかし、脳は血糖のほかに、脂肪酸などの代謝物であるケトン体もエネルギー源としており、仮に血糖が不足しても肝臓の糖新生でまかなわれるので、脳の働きが低下することはありません。
事実、糖尿病である医師が10年以上前から糖質制限食を実行し、毎日3食の主食を抜いてきましたが、糖尿病の克服に成功し、今も現役の医師として元気に働いています。
ですから、糖尿病の患者さんは、「主食をとらなければ生きていけない」という幻想は早く捨てて、安心して糖質制限食を行って大丈夫です。
糖質制限食は3タイプある
糖質制限食は、主食を抜く回数によって
- プチ糖質制限食
- スタンダード糖質制限食
- スーパー糖質制限食
の3タイプに分けられます。それぞれについては次のとおりです。
プチ糖質制限食
夕食で1回だけ主食を抜くタイプの糖質制限食です。これは本格的な糖尿病の人というよりも、ダイエットをしたい人や高血糖が気になりだした人に適した方法といえるでしょう。
ただし、朝食と昼食の主食以外では糖質の摂取を梅力控えます。また、主食には、血糖値の上昇がゆるやかになる未精製の穀物でできたものを選ぶのがポイントです。
具体的には、白米ではなく玄米か発芽玄米、白いパンではなくライ麦100% のパンか全粒粉100% のパン、ソバならつなぎに小麦を使っていない十割ソバ、パスタなら全粒粉のパスタです。なお、1食でとる量は、玄米ご飯なら1膳(目安として150g)、パンなら1~2切れ、十割ソバや全粒粉パスタなら1人前以内に抑えるぺきでしょう。
スタンダード糖質制限食
朝食と夕食の2回、主食を抜き、昼食のみ主食をとるタイプの糖質制限食です。これは、まだ本格的な糖尿病と診断されていない「境界型糖尿病」(食後血糖値が140mg/dl以上200mg/dl) の人や、比較的軽めの糖尿病の人に向いています。スタンダード糖質制限食は、本格的な糖尿病の発症や悪化を食い止めることをめざします。
昼食でとる主食以外は糖質の摂取を極力さけなければなりません。また、食べていい主食は、プチ糖質制限食のところで説明した未精製の穀物でできたものに限定されます。
スーパー糖質制限食
朝食・昼食・夕食の3食すべてで主食を抜くタイプの糖質制限食です。糖尿病の方ににすすめているのはこのタイプで、実行すれば驚くほど大きな改善効果が得られます。
スーパー糖質制限食を実行すれば、尿糖が出ていた重症の人でもすぐに尿糖が出なくなるほか、食後血糖値も劇的に下がります。その結果、重い糖尿病の人でも血糖降下薬やインスリン注射を減らしたり中止できたりする例が少なくありません。
可能な限り徹底して糖質制限食に取り組むほうがいい
主食を全くとらないスーパー糖質制限食をずつと継続するのは自信がないと考える人もいるかもしれません。
たとえば、スーパー糖質制限食をしばらく続けて血糖値が下がれば状態によっては、スタンダード糖質制限食に切り替えることもあります。
例えば会社員でお昼は外食が避けられないという方は、なかなか主食抜きを実践するのが難しい場合があります。そういうケースでは、薬を併用しながら主食を摂る方法を選択さざるを得ない場合もあります。
境界型や軽度の人は、スタンダード糖質制限食から始めることもあります。
一方、プチ糖質制限食は、ダイエット目的の食事法ですが、最初の1週間は、ぜひスーパー糖質制限食から始めることをおすすめします。そうすれば、多くの場合、1週間ほどで2~3キログラムは体重が減ります。ダイエットは効果が感じられるほど、続ける意欲がわくものです。ある程度、体重が減少したら、プチ糖質制限食に切り替えてもかまいません。
さらに、糖質制限食は内臓脂肪がおなかにたまったメタポリックシンドロームにも有効です。内臓脂肪がたまる最も大きな原因が糖質の過剰摂取なので、効率よく内臓脂肪を減らすことができます。この場合も、まずはスーパー糖質制限食から始め、効果を実感したら、プチ糖質制限食に切り替える方法がいいでしょう。
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