乾癬は、肥満・糖尿病、脂質異常症などの合併症を起こしやすくうつへ進む場合も

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体重が増え脂肪細胞が肥大化すると乾癬の原因となる物質が過剰に分泌される

皮膚に炎症を引き起こす乾癬は、肥満の人に多いといわれています。そのため、肥満が乾癖の危険因子の1つと考えられています。実際、運動療法や食事療法を行い体重を落とすことで、乾癬の症状が改善したという患者さんは少なくありません。

近年、生活習慣病を引き起こす原因として、、メメタボが問題視されています。メタボとは内臓脂肪の蓄積によって、インスリン(膵臓から分泌され糖を体内に吸収させるホルモン) の働きが悪くなり、糖や脂質の代射が低下して、さ-まざまな病気が引き起こされやすくなった状態のこと。

放置すれば動脈硬化(血管の老化) を促進し、脳卒中や心臓病の危険も高まります。

乾癬の患者さんにおいても、糖尿病や高血圧、脂質異常症などの合併症が多いことが、海外の報告で明らかになってきています。乾癬とメタボが少なからず関係しているとわかったのです。

国内では、旭川医科大学が乾癬と肥満の関係性について調査を行ったことがありました。その結果、乾癬の症状が重症でるほどBMI も高いという結果が出ました。

肥満の乾癖患者さんは、適正体重に近づけることで、症状の改善が十分に期待できます。なぜ、肥満が改善すると、乾癬の症状がよくなるのでしょうか

メタボは、内臓脂肪の蓄積が起因となります。内臓脂肪が蓄積していくと脂肪細胞は大きくなっていきます。すると、脂肪細胞からアデイポサイトカインと呼ばれる生理活性物質が過剰に分泌されるようになります。

アデイポサイトカインの中にアルファは、TNF-αが含まれています。T N F-α は炎症物質の1つで、乾癬の発症にも大きくかかわっていると考えられています。肥満によってTNFーα が増えれば、乾癬も発症しやすくなるといえます。逆に肥満の乾癖患者さんが減量することでTNF-αの分泌が低下すると、症状が緩和することも期待できるのです。

乾癬になると心理的な負担が増えてストレスを抱えやすく心に深い傷を負う人も多い

乾癬は肥満だけでなく、糖尿病とも深いかかわりを持っています。TNFーαはインスリン抵抗性を引き起こす原因となります。インスリンの働きによって、血液中のブドウ糖の量は調節されています。ところが、インスリンが分泌されているにもかかわらず効きめが弱くなると、細胞内にブドウ糖が取り込まれにくくなり、血糖値が上昇してしまうのです。

脂肪細胞が肥大化することで、TNFーα が増え、インスリン抵抗性を引き起こします。脂肪細胞から分泌されるTNFーαは、乾癬の発症にも関与していることが推測されています。

したがって、乾癬の患者さんは治療を進めていくうえで、メタボの改善が非常に重要です。メタボの人は乾癖になりやすく、生活習慣病も防ぐためにも肥満の改善に努めるべきです。

乾癬とほかの疾患の心理的負担を比較した試験結果があります。点数が低いほど患者さんの負担が大きく、乾癬は身体的項目では10位、精神的項目では9位と負担が大きいことがわかります。

乾癬の患者さんは、うつの発症にも注意するようにしてください。皮膚の見た目の変化により、心に傷を作ってしまう人も少なからずいらっしやいます。

外見の変化のはか、病名が誤解を生むこともあります。乾癬という言葉から「感染」を連想させ、周囲に好ましくない印象を持たれることもあります。乾癬はウィルスなどが原因ではないため、感染することは絶対にありません。

皮膚がボロボロと落ちることも、乾癬の患者さんを悩ませます。はがれ落ちた多くの皮膚は周囲の方々に気を使わせてしまいます。それが心理的な負担になることは容易に想像がつきます。

また、乾癬を発症している人がそれほど多くない日本では、「乾癬です」と説明をしても理解してもらえることはほとんどありません。日常生活においては、入浴が負担になるという患者さんが非常に多くいます。

自宅で入浴する場合も、皮膚がはがれ落ちて湯船に浮かぶため、家族に気を遣っているという人も少なくありません。服装では、夏でも長そで、長ズボンを着用する場合が多く、特に女性は負担が大きくなります

。また、頭部の発疹を気にして、理美容室に行きにくくなってしまいます。これらはほんの一例ですが、乾癬の患者さんの多くは、常に精神的なストレスを抱えているといえます。

乾癬の患者さんに対して、皮膚の治療だけでなく、心のケアにも重点を置くことが必要です。あたりまえのことですが、患者さんの立場になり、患者さんの声に耳を傾け、仕事や生活習慣を考慮した治療法を選択し、少しでも不安や恐怖感を取り除けるように努力したいと思っています