腸内環境の悪化は腸もれ症候群を招き、乾癬などの難病も誘発する

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腸内細菌のバランスがくずれると腸のバリアがなくなり腸管に無数の穴が開いてしまう

現代人はもともと、腸トラブルを起こしやすいのですが、腸の壁に穴が開いて起こる「リーキーガット症候群」があります。日本語に訳すと「腸管壁浸潤症候群」、わかりやすくいえば「腸もれ」が引き起こすさまざまなう症状のことです。

乾癬や帯状疱疹といった治りにくい病気とも無関係でないことが最近の研究で明らかになってきています。「腸もれ」というと、ふとした拍子に便が出てしまった状況を想像する人がいるかもしれません。しかし、実際には腸管にできた穴から消化不十分の食べ物などがジワジワとしみ出てしまう現象を指します。

腸もれとはどのような状態なのでしょうか。じよう腸の内側(腸壁)は粘膜層(上ひ皮細胞) で覆われ、腸管に傷がつかないように保護されています。さらに、腸内には1000兆個の細菌がそれぞれ仲間ごとに群れて生息しています。健康な成人の腸内細菌は平均して1.3~2.0kgにもなり、レンガ1個分に相当する腸内細菌を持っているといわれています。

腸内細菌は乳酸菌などの善玉菌や大腸菌などの悪玉菌、どちらにも属さない日和見菌に分類されます。善玉菌のグループは、悪玉菌や毒素が増え媚て体に害を与えないように調整するとともに、腸壁が傷つかないようにバリア(防御層) を張りめぐらせています。

腸は、粘膜と善玉菌のバリアがあるおかげで、消化が不十分で分子の大きい食べ物のかけらや有害な物質(ウィルス・カビ・病原菌・寄生微生物・腐敗菌・重金属・環境ホルモンなど) を体内に吸収しなくてすむのです。一方で腸は、食べ物を血液が運べるくらいの小さい分子に分解し、腸壁にある絨毛から吸収して全身の細胞に栄養を与えます。

ところが、偏った食事やストレス、抗生物質、病原菌などの要因によって善玉菌が減少し、腸内細菌のバランスがくずれると、腸内の空いた領域に悪玉菌や日和見菌が大繁殖してしまいます。

増加した悪玉菌は、グルテン( 小麦に含まれるたんばく質)・カフェイン・アルコールなどの炎症物質といっしょになって腸の粘膜を直接攻撃します。その結果、腸の粘膜を形成している上皮細胞間に密着し、接合している部分が緩んで、腸壁に無数の細かい穴が開いてしまいます。つまり、腸内の防波堤が決壊した状態になるわけです。以上が「腸もれ」という現象のあらましです。では、腸もれが起こると、私たちの体にどのような不都合が生じるのでしょうか。

不要な物質が腸管の穴から漏れ出て血液に入り免疫の異常を招いて炎症を起こす

まず、正常に消化されなかった分子の大きい食べ物のかけらや有害な病原体など、通常は防波堤に阻まれて吸収されないはずの物質が、腸壁に開いた穴からもれ出します。

穴がたくさん開いたホースから水が四方八方へ拡散するのと同じように、体に不要な物質が排泄されずに血流に乗って、体のあちこちに運ばれてしまうのです。

本来体内に入るべきでない物質が血液中に入ってしまうと、病原体を撃退して防御する体の免疫システムが非常警報を発令します。非常警報が継続して発令されるようになると、体の免疫システムはフル稼働しなければいけません。フル稼働した免疫システムは疲れてしまい、ほかの感染源や毒素などと舶闘うカが落ちてしまいます。

つまり、免疫システムに負担がかかりすぎて免疫力が低下するというわけです。また、私たちの体を構成するたんばく質の中には、牛乳や卵、小麦などに含まれるたんばく質と似通った構造のものがあります。

牛乳や卵、小麦などのたんばく質が消化されずに分子が大きいまま体内に吸収されると、たんばく質の形が似ているため体は混乱してしまいます。その結果、腸粘膜をはじめ全身の粘膜組織でアレルギー反応が生じ、食物アレルギーが起こります。腸もれを起こしている腸では、食べ物が十分に消化・吸収されなくなるため、栄養不足に陥り、体力や免疫力の低下を招きます。

さらに、血流に乗った毒素や炎症物質などは、免疫システムに余計な負担をかけます。毒素や炎症物質が体内に蓄積するようになると、さまざまな組織や器官に炎症が起こって慢性化するのです。

体の炎症やアレルギーの病気といえば花粉症・アトピー性皮膚炎・じんましんなどがよく知られています。最近の考え方では、乾癬や帯状疱疹などの治りにくい慢性病もリーキーガット症候群の1つとして考えられています。

リーキーガット症候群を改善に導くためには、腸に問いた穴をふさぐ必要があります。私たちの体では、新しい細胞が古い細胞と入れ替わる新陳代謝が行われていて、多くの食べ物の消化・吸収を担う腸の粘膜細胞は、わずか1日で新旧交替します。

腸粘膜の新陳代謝を促進するには腸内の善玉菌の助けが不可欠で、善玉菌が少なく腸内環境が悪い状態では修復に支障をきたします。腸内の善玉菌を増やす方法としては、乳酸菌食品や善玉菌のエサとなるオリゴ糖・食物繊維などを摂取するのが非常に有効です。

乾癬や帯状疱疹といった慢性的な皮膚の病気に悩んでいる人は、善玉菌を増やして腸内環境を整えることを念頭に置いて、リーキーガット症候群を改善してほしいと思います。乾癬や帯状疱疹などは腸内環境の正常化が治療の第一です。