腸の発酵と腐敗を左右する腸内細菌は善玉菌優勢になると日和見菌が加勢して免疫力向上

「肌が荒れている」「風邪を引きやすい」「便秘ぎみである」など、体調不良に悩んでいないでしょうか。思い当たる人は、腸内環境がくずれて、免疫力が低下しているかもしれません。

肌の状態や体調、便通などを改善するためには、腸内環境を正常にすることが大切です。人間の腹の中には3万種類以上の腸内細菌が1000兆個存在しているといわれ、すべてを合わせると重さは約2キロにもなります。

私たち人間は豊富な腸内細菌の働きによって、エネルギー源である食べ物を無毒化して消化・吸収したり、特定の毒素などを排除したりすることができるのです。

さらに、腸内細菌が免疫のバランスを整えたり、強化したりちゆすることによって自然治癒力が高まり、乾癬や帯状疱疹など皮膚に起こる病気の予防・改善にまで影響を与えることが広く認知されるようになりました。

体内には、腸内細菌と同じくらい重要なものがあります。それは、「基底顆粒細胞」です。基底顆粒細胞は全身にあり、人間が生きていくうえで欠かせない欲求を引き起こすホルモンを分泌しています。

特に、腸の基底顆粒細胞から分泌されるホルモンは重要だと考えられています。脳内ホルモンの分泌量を調整する物質を排出する働きを担っているからです。

加えて、腸内細菌と腸の基底顆粒細胞は、心の安らぎ・生きがいを与えるホルモンをはじめ、食欲や睡眠欲、名誉欲、色欲といった欲求を引き起こすホルモンの分泌にもかかわっていると考えられています。

植物の根っこが栄養分や水分を吸収して、茎や葉、花などに送り届ける根幹の部分であるように、人間の体の根っこにあたるのが腸(腸管) です。

この考え方を「東洋医学考根論」と呼びます。私は東洋医学考根論において、腸は「ぬか床」であると説いています。ぬか床は、乳酸菌をはじめとする微生物の働きで野菜を発酵させ、おいしい漬物にします。

一方、同じ微生物の働きでも、物質を有害なものに変えてしまう場合があります。それが腐敗です。腸というぬか床においても、発酵と腐敗が生じます。

発酵と腐敗のどちらが生じるかのカギを握るのが、腸内細菌です。理想的な腸内環境では、善玉菌が20% 、悪玉菌が10% のバランスになっています。残りの70 %は日和見菌が占めています。日和見菌は、善玉菌と悪玉菌のどちらか優勢なほうの働きを助けます。そのため、善玉菌が優性ならば発酵が順調にすすみ、免疫力も高まります。しかし、悪玉菌が優性になると腐敗が進行し、腸全体の活動を鈍らせてしまいます。

野菜を特に発酵させる腸内細菌を持つ日本人は発酵食品で腸内環境を改善すうることができる

では、腸を整えて快適な状態を維持するためには、何が必要なのでしょうか。いちばんは、腸内細菌が発酵させやすいものをとることです。日本人を含む東南アジア人は、草食であるウシやウマのように野菜を発酵させる腸内細菌を保有しており、ヨーロッパ人は肉食であるライオンやトラに似ていて、特に肉を発酵させる腸内細菌を保有していると、考えています。

保有している菌という観点から見ると、日本人に適した食事は野菜をたっぶりとれる和食です。和食には、腸内細菌のエサとなるオリゴ糖を多く含む野菜類やイモ類、海藻類、キノコ類が豊富です。料理方法もさまざまあり、煮たりゆでたり、いためたりして量をたくさんとれるように工夫されています。

日本人に和食が合う理由はほかにもあります。そのひとつが体温を37度に保つことです。体温は1度低下すると免疫力が30% 下がるといわれています。しかし、体温が高すぎても体が正しく機能しません。

 体温が上がるとガン細胞も撃退する

人間や腸内細菌が正常に働ける適温を保つ必要があるのです。和食の中で、マグロは体を冷やす食べ物ですが、体を温める働きがあるワサビをつけて食べるのが一般的です。

同じく、体を冷やす食材である豆腐には、ネギやショウガといった薬味を合わせて食べることが多いでしょう。このように和食には、冷えとほてりを中和する組み合わせがたくさん取り入れられていて、体温を適温に保つのに優れています。和食には多くの発酵食品があることも腸によい理由の1つです。みそや納豆などは和食特有の発酵食品です。

ふだんから和食を食べることで、腸内環境が整うことは間違いありません。人体最大の免疫器官である腸のよい状態を保つことで免疫力が高まり、乾癖や帯状癌疹といった病気の予防や改善が期待できるでしょう

帯状疱疹は後遺症の神経通に要注意

  • 投稿日:
  • by
  • カテゴリ:

帯状疱疹は17年間で3割も増加、五十歳以上で発症すると2割が神経痛に悩まされる

1997年に開始された「宮崎スタディ」は、世界的に類のない規模の帯状疱疹の疫学調査です。

その調査によると、宮崎県の人口は2013年までの17年間で4.7% 減少しているにもかかわらず、帯状疱疹の患者数は1年間で4243人から5766人と35.9% も増加していることがわかりました。

発症率も、年間1000人あたりにつき3.61人から5.15人へと42.6% 上昇。患者数、発症率ともに50歳以上から急増しています。

男女別では、40~60代の女性の発症率が高くなっていることがわかりました。

帯状疱疹の原因は、子どものときに多くの人がかかる水痘(水ぼうそう)・帯状疱疹ウィルスです。水ぼうそうにかかって症状が治まったとしても、ウィルスは体内の神経節(神経の中継所) に潜伏しつづけます。

加齢や病気、疲労、ストレスなどで免疫力が低下したときに、潜伏したウイルスが活発になり、感覚神経に沿った形で発症します。帯状疱疹は一度かかると再発しないといわれてきましたが、加齢のほか、免疫を抑制する薬を使用していると、2回以上かかることもあります。

また、帯状疱疹を放置したり、治療を受けるのが遅くなったりした場合、帯状疱疹後神経痛になることがあります。帯状疱疹後神経痛は、ウィルスが神経に沿って移動するときに神経細胞を障害するために起こります。

帯状疱疹後神経痛は、帯状疱疹を発症し3ヶ月が過ぎても、痛みが続く場合をいいます。患者さんによっては、十年以上も痛みが続くことも珍しくありません。

50歳以上の人が帯状疱疹を発症すると、帯状疱疹後神経痛にかかる割合は15~20% という報告があります。特に、帯状疱疹の初期に痛みが強い人、発疹などの皮膚症状がひどかった人に、神経痛が残りやすいといえます。

帯状疱疹が顔に現れると顔面神経マヒや難聴、耳鳴りなどの内耳の傷害を伴うことがあります。さらに腹部周囲の帯状疱疹はでは排尿・排泄障害が起こることもあるのです。

こうした重大な症状や、いつまでも続く帯状癌疹後神経痛をさけるためには、皮膚科などでの早めの治療が重要です。治療とともに、生活習慣でも心がけてはしいことがあります。かきむしるなど、皮膚を刺激することはさけるとともに、患部を冷やさないようにしてください。帯状疱疹後神経痛は患部を温めることで症状が軽くなります。

帯状疱疹ウィルスは40度C以上で活動が抑えられるため体を温めることが有効

体を温めることによって、血液の循環がよくなり、痛みを引き起こしている物質が排出されやすくなります。また、酸素や栄養が全身に行き渡りやすくなるので、傷ついた神経の修復が早くなります。

体が温まることで、ウィルスの働きは抑えられるのです。

使い捨てカイロで温める

血流がよくなり痛みが取れやすくなります。カイロをはる場所は、患部のすぐそばよりも、少し離すと刺激が少ないでしょう。夜、寝るときは、低温やけどをさけるためにカイロを外すようにしてください。

就寝時は湯たんぽで温める

夜寝る前に、湯たんぽで寝具を温めておき、就寝時も湯たんぽを体のそばに置いて冷えないようにするといいでしょう。低温やけどの危険もあるため、湯たんぽが体に直接ふれないようにしてください。

ゆっくり入浴して体を温める

水痘・帯状疱疹ウィルスは、40度C以上で活動できなくなるといわれています。ぬるめのお風呂にゆっくり入って体を温めるようにしましょう。患部を清潔にすちゆることも、治癒を早めます。ただし、入浴の可否は事前に医師と相談してください。帯状疱疹後神経痛を軽減するには、「温める」以外に次のようなことを心がけてください。

無理をしない

帯状疱疹になるときは、体力が落ちて免疫力が低下しているときです。栄養を十分にとり、睡眠不足を防ぐなど、無理をしないようにしましょう

気分転換をする

ストレスも大きな原因です。趣味などで心から楽しめる時間を作りましょう。

急性期などの症状が重いときはアルコール類を控える

アルコールは血管を拡張さて、炎症をひどくしてしまうことがあります。深酒しないことを心がければお酒を飲んでもかまいませんが、急性期などの症状が重いときはアルコールを控えるようにしましょう。肌の異常を感じたら、すぐに皮膚科などを受診するようにしてください。日常生活にも注意することで、帯状疱疹の症状を抑えて帯状疱疹後神経痛も回避できるのです。

免疫力が低下すると隠れていた帯状疱疹ウィルスが活発になり皮膚症状がではじめる

季節の変わりめなど、体力が低下しやすくなる時期に注意したい皮膚の病気が、帯状疱疹です。神経痛に似たチクチクとした刺すような痛みや、ヒリヒリしたような感覚、皮膚のかゆみなどが数日から1週間程度続くのが、初期の症状です。

その後、同じ場所に虫に刺されたような赤い発疹が現れ、軽い発熱やりパ節の勝れ、頭痛といった症状が見られることもあります。さらに、発疹上に小さな水ぶくれができ、神経痛のような痛みが悪化するとともに水ぶくれもひどくなっていきます。

水ぶくれは、初めのうちは透明ですが、やがて黄色い膿癌となって6~8日で被れ、ただれた状態になります。発疹が現れてから1週間までは、赤い発疹や水ぶくれの範囲は広がる一方ですが、その後は快方に向かいます。約3週間でかさぶたとなり、約3週間でかさぶたが落ちて、帯状疱疹は治まります。

帯状疱疹は幼少期に水ぼうそうを経験した人のうち、3人に1人の割合で発症します。水ぼうそうは、主に10歳以下の子どもがかかる「水痘・帯状疱疹ウイルスというウィルスによる感染症です。ではなぜ、水ぼうそうにかかると帯状疱疹になる可能性が高くなるのでしょうか。そのキーワードとなるのが「免疫」です。

私たち人間をはじめとするほ乳類の免疫には、大きく分けて「自然免疫」と「獲得免疫」という2つのシステムがあります。自然免疫は、私たちが生まれながらに持っている免疫のこと。自然免疫では、白血球の一種であるマクロファージ(貪食細胞)の働きがカギを握っています。

マクロファージの代表的な働きは、体内の病原体などの異物を掃除することです。一方の獲得免疫は、一度でもウィルスなどに感染すると、免疫細胞がその情報を覚えていて、再びウィルスが侵入したときに撃退するしくみのこと。生まれてからの経験で得られる免疫のため獲得免疫といい、ワクチンなどが該当します。

獲得免疫の働きで、幼少期に水ぼうそうにかかると、免疫細胞が帯状疱疹ウィルスを覚え、その後は再発することはありません。ただし、帯状疱疹ウイルスは完全に消失してはいません。

水ぼうそうの症状が改善した後も、帯状癌疹ウィルスは神経節に隠れているのです。帯状疱疹ウィルスが神経節でおとなしくしているうちは何の問題もありません。

ところが、加齢をはじめ、睡眠不足や過労、いろいろな疾病の罹患、運動不足、仕事や人間関係のストレスなどで免疫力が落ちたときなどは注意が必要です。有害な異物と闘って体を守る免疫力によって抑え込まれていた帯状疱疹ウィルスが再び活動しはじめ、神経を伝って皮膚で暴れてしまうのです。春は環境の変化が多い時期のため、免疫力の低下に十分気をつけてください。

帯状疱疹は発疹が出てから3日以内に抗ウイルス薬を飲む

帯状疱疹ウィルスが再び活動を始めてから皮膚の表面に到達するまでには、1~2週間ほどかかnノます。発疹などの皮膚の症状が出る前に痛みが出たときは、すでに神経細胞の破壊が進んでいます。そのため、神経や神経周囲のダメージが大きく、皮膚の症状も激しいものとなります。

ときには、神経が変性して帯状疱疹後神経痛を残すこともあります。

帯状疱疹は、感覚神経が通る体のどこにでも発症する可能性があります。特に多いのが、胸や背中などの胸神経と、さんさ顔面などの三叉神経です。

神経は体の左右対称に分かれて伸びているため、通常は帯状疱疹ウィルスが再び活動をはじめた左右どちらかの感覚神経の部分に、痛みや水ぶくれなどの症状が出ます。最近になって帯状疱疹の患者さんが増えている理由には、高齢化が関係しています。

これまで帯状疱疹は一度かかると再発はしないと考えられていました。しかし、高齢者の増加に伴って十年ほど前から2回以上帯状疱疹にかかる患者さんも増えてきました。

最初の帯状疱疹の発症から5~10年前後で再発することもあります。帯状癌疹は「免疫力低下」を知らせるサインです。加齢などによって体の免疫力が落ちて現れる病気なのです。帯状疱疹ウィルスの増殖は発疹が出てから72時間でピークに達するため、3日以内に抗ウィルス薬を服用することが大切です。帯状疱疹の疑いがある場合は、早めに皮膚科などを受診して、抗ウィルス薬などによる治療を始めることが重要です。

体重が増え脂肪細胞が肥大化すると乾癬の原因となる物質が過剰に分泌される

皮膚に炎症を引き起こす乾癬は、肥満の人に多いといわれています。そのため、肥満が乾癖の危険因子の1つと考えられています。実際、運動療法や食事療法を行い体重を落とすことで、乾癬の症状が改善したという患者さんは少なくありません。

近年、生活習慣病を引き起こす原因として、、メメタボが問題視されています。メタボとは内臓脂肪の蓄積によって、インスリン(膵臓から分泌され糖を体内に吸収させるホルモン) の働きが悪くなり、糖や脂質の代射が低下して、さ-まざまな病気が引き起こされやすくなった状態のこと。

放置すれば動脈硬化(血管の老化) を促進し、脳卒中や心臓病の危険も高まります。

乾癬の患者さんにおいても、糖尿病や高血圧、脂質異常症などの合併症が多いことが、海外の報告で明らかになってきています。乾癬とメタボが少なからず関係しているとわかったのです。

国内では、旭川医科大学が乾癬と肥満の関係性について調査を行ったことがありました。その結果、乾癬の症状が重症でるほどBMI も高いという結果が出ました。

肥満の乾癖患者さんは、適正体重に近づけることで、症状の改善が十分に期待できます。なぜ、肥満が改善すると、乾癬の症状がよくなるのでしょうか

メタボは、内臓脂肪の蓄積が起因となります。内臓脂肪が蓄積していくと脂肪細胞は大きくなっていきます。すると、脂肪細胞からアデイポサイトカインと呼ばれる生理活性物質が過剰に分泌されるようになります。

アデイポサイトカインの中にアルファは、TNF-αが含まれています。T N F-α は炎症物質の1つで、乾癬の発症にも大きくかかわっていると考えられています。肥満によってTNFーα が増えれば、乾癬も発症しやすくなるといえます。逆に肥満の乾癖患者さんが減量することでTNF-αの分泌が低下すると、症状が緩和することも期待できるのです。

乾癬になると心理的な負担が増えてストレスを抱えやすく心に深い傷を負う人も多い

乾癬は肥満だけでなく、糖尿病とも深いかかわりを持っています。TNFーαはインスリン抵抗性を引き起こす原因となります。インスリンの働きによって、血液中のブドウ糖の量は調節されています。ところが、インスリンが分泌されているにもかかわらず効きめが弱くなると、細胞内にブドウ糖が取り込まれにくくなり、血糖値が上昇してしまうのです。

脂肪細胞が肥大化することで、TNFーα が増え、インスリン抵抗性を引き起こします。脂肪細胞から分泌されるTNFーαは、乾癬の発症にも関与していることが推測されています。

したがって、乾癬の患者さんは治療を進めていくうえで、メタボの改善が非常に重要です。メタボの人は乾癖になりやすく、生活習慣病も防ぐためにも肥満の改善に努めるべきです。

乾癬とほかの疾患の心理的負担を比較した試験結果があります。点数が低いほど患者さんの負担が大きく、乾癬は身体的項目では10位、精神的項目では9位と負担が大きいことがわかります。

乾癬の患者さんは、うつの発症にも注意するようにしてください。皮膚の見た目の変化により、心に傷を作ってしまう人も少なからずいらっしやいます。

外見の変化のはか、病名が誤解を生むこともあります。乾癬という言葉から「感染」を連想させ、周囲に好ましくない印象を持たれることもあります。乾癬はウィルスなどが原因ではないため、感染することは絶対にありません。

皮膚がボロボロと落ちることも、乾癬の患者さんを悩ませます。はがれ落ちた多くの皮膚は周囲の方々に気を使わせてしまいます。それが心理的な負担になることは容易に想像がつきます。

また、乾癬を発症している人がそれほど多くない日本では、「乾癬です」と説明をしても理解してもらえることはほとんどありません。日常生活においては、入浴が負担になるという患者さんが非常に多くいます。

自宅で入浴する場合も、皮膚がはがれ落ちて湯船に浮かぶため、家族に気を遣っているという人も少なくありません。服装では、夏でも長そで、長ズボンを着用する場合が多く、特に女性は負担が大きくなります

。また、頭部の発疹を気にして、理美容室に行きにくくなってしまいます。これらはほんの一例ですが、乾癬の患者さんの多くは、常に精神的なストレスを抱えているといえます。

乾癬の患者さんに対して、皮膚の治療だけでなく、心のケアにも重点を置くことが必要です。あたりまえのことですが、患者さんの立場になり、患者さんの声に耳を傾け、仕事や生活習慣を考慮した治療法を選択し、少しでも不安や恐怖感を取り除けるように努力したいと思っています

乾癬は皮膚の最も外側にある表皮細胞が浸潤する炎症細胞の刺激が原因

範囲に皮膚炎症が起こる病気の1つに、乾癬があります。乾癬になると、皮膚が赤く盛り上がり、表面に銀白色のかさぶたのようなもの(鱗屑(りんせつ)ができ、それがボロボロとはがれ落ちてきます。

乾癬は全身に現れますが、病変部位と正常皮膚は比較的、境界線が明瞭な場合が多いです。症状には個人差があり、強いかゆみが出る人もいれば、まったくかゆみが見られないという人もいます。

皮膚病変の見た目が気になって、人の目をさけるようになる患者さんが少なくありません。友人たちと一緒に温泉に入ることを躊躇したり、夏でも長袖で患部を隠したりするようになります。
生活の質(QOL)が低下していき、気持ちまでもがふさぐこむようになってしまいます。

では、乾癖はなぜ起こるのでしょうか。以前は、体の外側を覆う表皮細胞に問題があるという説と、皮膚に浸潤する炎症細胞による免疫の異常が原因であるという説に分かれていました。

乾癬になると表皮が異常なまでに盛り上がるため、皮膚に問題があると考えられたのです。また、免疫機能の異常が原因と考えられたのは、表皮の下にある真皮内に炎症細胞であるT リンパ球(白血球の一種)が数多く浸潤しているという理由からでした。

Tリンパ球は炎症細胞であるため、その言葉どおり炎症を引き起こし、発赤(皮膚が赤くなること) などの原因になります。T リンパ球は直接的にあるいはアルファ間接的にTN Fーαと呼ばれる炎症物質の産生に関係し、腫れや痛みなどを引き起こしてしまいます。

話は少し脱線しますが、十年ほど前、インフリキシマブという関節リウマチの薬が登場しました。関節リウマチはTN Fーαが大量に作られることで関節に炎症が起こり、痛みや腫れといった症状が起こります。インフリキシマブはTN Fーαの抗体なので、その働きを抑制します。

その結果、関節の炎症を抑えてくれるのです。インフリキシマブによる治療を始めた関節リウマチの患者さんの中に、乾癬も患っている方がいました。すると、治療を開始してしばらくたったころ、リウマチだけでなく、乾癬で起こっていた皮膚の炎症も劇的によくなったのです。

その発見以来、乾癬の原因は皮膚に浸潤するT リンパ球が深く関与しているという説が主流となりました。ただ、なぜ免疫機能が異常をきたし、Tリンパ球が暴走するのか、その詳細なメカニズムは明らかにされていません。

どのような人が乾癬になりやすいかというと、まず遺伝が考えられます。家族内発症があることから、何らかの遺伝的要因が想定されています。乾癬は遺伝的背景に加えて、何らかのきっかけがあって発症すると考えられています。

きっかけとなるのは、ストレスや疲労、喫煙、カゼ、アルコールや薬物の摂取などが挙げられます。

乾癬の治療は主にT リンパ球の異常を抑制する治療と、表皮の増殖を抑える治療に分けられます。Tリンパ球の異常を抑制する治療には、ステロイド外用薬や光線(紫外線)療法、免疫抑制剤などの種類があります。

薬の一部には妊婦さんに使用できないものもありますが、基本的には医師の指導や注意を守れば、副作用も少なく、症状の改善が期待できます。

乾癬の改善には適度な日光浴や十分な睡眠が肝心で入浴では体を優しく洗うことが大切

乾癬の改善には日常生活を見直すことも必要です。第一に取り組んでほしいのが禁煙です。喫煙は乾癬の発症リスクを高めるだけでなく、症状の悪化も招きます。

受動喫煙も体に害を与えますから、少なくとも乾癬患者さんの前での喫煙は控えてください。また、適度に紫外線を浴びることは乾癬の改善に有効です。ただ、過剰な日光浴は逆に症状を悪化させかねません。季節や地域によって紫外線の量は異なり個人差もあります。

入浴に関しては、熱いお揚に長時間漬かるのは禁物です。皮膚の天然保湿因子などが落ちて乾燥を招き、乾癖の悪化にもつながるからです。タオルで体をゴシゴシ洗うのもいけません。

できれば、石けんを泡立て、手で体を優しく洗うくらいがちょうどいいでしょう。睡眠時間は十分にとってください。睡眠不足は乾癖に限らず、あらゆる病気の引き金になります。かゆみで眠れない場合は、医師に相談すれば適切な治療薬を処方してくれます。乾癬の患者さんは1人で悩まず、しつかりと医師に相談して治療を受けることを心がけてください。

腸内細菌のバランスがくずれると腸のバリアがなくなり腸管に無数の穴が開いてしまう

現代人はもともと、腸トラブルを起こしやすいのですが、腸の壁に穴が開いて起こる「リーキーガット症候群」があります。日本語に訳すと「腸管壁浸潤症候群」、わかりやすくいえば「腸もれ」が引き起こすさまざまなう症状のことです。

乾癬や帯状疱疹といった治りにくい病気とも無関係でないことが最近の研究で明らかになってきています。「腸もれ」というと、ふとした拍子に便が出てしまった状況を想像する人がいるかもしれません。しかし、実際には腸管にできた穴から消化不十分の食べ物などがジワジワとしみ出てしまう現象を指します。

腸もれとはどのような状態なのでしょうか。じよう腸の内側(腸壁)は粘膜層(上ひ皮細胞) で覆われ、腸管に傷がつかないように保護されています。さらに、腸内には1000兆個の細菌がそれぞれ仲間ごとに群れて生息しています。健康な成人の腸内細菌は平均して1.3~2.0kgにもなり、レンガ1個分に相当する腸内細菌を持っているといわれています。

腸内細菌は乳酸菌などの善玉菌や大腸菌などの悪玉菌、どちらにも属さない日和見菌に分類されます。善玉菌のグループは、悪玉菌や毒素が増え媚て体に害を与えないように調整するとともに、腸壁が傷つかないようにバリア(防御層) を張りめぐらせています。

腸は、粘膜と善玉菌のバリアがあるおかげで、消化が不十分で分子の大きい食べ物のかけらや有害な物質(ウィルス・カビ・病原菌・寄生微生物・腐敗菌・重金属・環境ホルモンなど) を体内に吸収しなくてすむのです。一方で腸は、食べ物を血液が運べるくらいの小さい分子に分解し、腸壁にある絨毛から吸収して全身の細胞に栄養を与えます。

ところが、偏った食事やストレス、抗生物質、病原菌などの要因によって善玉菌が減少し、腸内細菌のバランスがくずれると、腸内の空いた領域に悪玉菌や日和見菌が大繁殖してしまいます。

増加した悪玉菌は、グルテン( 小麦に含まれるたんばく質)・カフェイン・アルコールなどの炎症物質といっしょになって腸の粘膜を直接攻撃します。その結果、腸の粘膜を形成している上皮細胞間に密着し、接合している部分が緩んで、腸壁に無数の細かい穴が開いてしまいます。つまり、腸内の防波堤が決壊した状態になるわけです。以上が「腸もれ」という現象のあらましです。では、腸もれが起こると、私たちの体にどのような不都合が生じるのでしょうか。

不要な物質が腸管の穴から漏れ出て血液に入り免疫の異常を招いて炎症を起こす

まず、正常に消化されなかった分子の大きい食べ物のかけらや有害な病原体など、通常は防波堤に阻まれて吸収されないはずの物質が、腸壁に開いた穴からもれ出します。

穴がたくさん開いたホースから水が四方八方へ拡散するのと同じように、体に不要な物質が排泄されずに血流に乗って、体のあちこちに運ばれてしまうのです。

本来体内に入るべきでない物質が血液中に入ってしまうと、病原体を撃退して防御する体の免疫システムが非常警報を発令します。非常警報が継続して発令されるようになると、体の免疫システムはフル稼働しなければいけません。フル稼働した免疫システムは疲れてしまい、ほかの感染源や毒素などと舶闘うカが落ちてしまいます。

つまり、免疫システムに負担がかかりすぎて免疫力が低下するというわけです。また、私たちの体を構成するたんばく質の中には、牛乳や卵、小麦などに含まれるたんばく質と似通った構造のものがあります。

牛乳や卵、小麦などのたんばく質が消化されずに分子が大きいまま体内に吸収されると、たんばく質の形が似ているため体は混乱してしまいます。その結果、腸粘膜をはじめ全身の粘膜組織でアレルギー反応が生じ、食物アレルギーが起こります。腸もれを起こしている腸では、食べ物が十分に消化・吸収されなくなるため、栄養不足に陥り、体力や免疫力の低下を招きます。

さらに、血流に乗った毒素や炎症物質などは、免疫システムに余計な負担をかけます。毒素や炎症物質が体内に蓄積するようになると、さまざまな組織や器官に炎症が起こって慢性化するのです。

体の炎症やアレルギーの病気といえば花粉症・アトピー性皮膚炎・じんましんなどがよく知られています。最近の考え方では、乾癬や帯状疱疹などの治りにくい慢性病もリーキーガット症候群の1つとして考えられています。

リーキーガット症候群を改善に導くためには、腸に問いた穴をふさぐ必要があります。私たちの体では、新しい細胞が古い細胞と入れ替わる新陳代謝が行われていて、多くの食べ物の消化・吸収を担う腸の粘膜細胞は、わずか1日で新旧交替します。

腸粘膜の新陳代謝を促進するには腸内の善玉菌の助けが不可欠で、善玉菌が少なく腸内環境が悪い状態では修復に支障をきたします。腸内の善玉菌を増やす方法としては、乳酸菌食品や善玉菌のエサとなるオリゴ糖・食物繊維などを摂取するのが非常に有効です。

乾癬や帯状疱疹といった慢性的な皮膚の病気に悩んでいる人は、善玉菌を増やして腸内環境を整えることを念頭に置いて、リーキーガット症候群を改善してほしいと思います。乾癬や帯状疱疹などは腸内環境の正常化が治療の第一です。

l千兆個も生息する腸内細菌が悪玉菌優勢で免疫力が低下すると帯状疱疹を引き起こす

肌が乾燥して皮膚がむけたり、かゆみや湿疹が出たりするトラブルに悩む人が増えています。特に、ここ十数年で急増してるのが乾癬や帯状疱疹といった皮膚の病気です。

どちらの病気も免疫力が低下して起こるといわれています。、免疫力はもともと私たちの体に備わっていて、有害な異物と闘って体を守るために欠かせないカです。

免疫力低下の大きな原因は「腸内環境の悪化」です。近年の研究で、腸内細菌は1000兆個も生息していることがわかりました。腸内細菌は、人体に有益な働きをする乳酸菌やビフィズス菌などの「善玉菌」、有害な働きをする大腸菌やウエルシュ菌などの「悪玉菌」、善玉菌にも悪玉菌にも属さない「日和見菌」の3つに分けられます。善玉菌や悪玉菌はそれぞれグループごとに集まり、絶えず勢力争いをくり返しています。

善玉菌は、病原菌と闘うために、自分たちの栄養となる代謝物を分泌して補給します。ところが、さまざまな要因によって腸内の善玉菌が減少すると、分泌する代謝物も減ってしまい、‥善玉菌は栄養不足に陥ります。

その結果、悪玉菌が優勢になって腸内環境が悪化してしまうのです。腸内環境を悪化させる要因となるのは、食事の欧米化による食物繊維の不足や過食・偏食、交通機関の発達による運動不足などです。

中でも、善玉菌が増殖するときのエサとなる食物繊維の摂取量は、50年前に比べて3分の1に減少しました。こうした要因によって腸内環境が悪化すると、自律神経のバランスがくずれて免疫力の低下を招きます。腸は、免疫細胞の約7割が集中する人体最大の免疫器官です。

免疫力にかかわる自律神経とは、私たちの意思とは関係なく臓器や血管の働きを支配する神経で、全身に分布しています。自律神経には、心身を活動的にする交感神経と、心身を休息させる副交感神経の2種類があり、1日のうちでシーソーのようにバランスを取り合っています。

生命活動において重要な役割を果たしている「腸」

朝の光を浴びたり、朝食をとったりすることで交感神経の働きが活発になり、1日の活動がスタートします。心身が活動状態にある日中は、腸などの消化器にエネルギーが多く届きません。その代lわりに消化器は、副交感神経が優位に働く夜間に規則正しく動くようにできているのです。

ところが、悪玉菌が優勢になって腸内環境が悪化すると、腸を支配している副交感神経の働きが抑えられ、交感神経が優位になります。つまり、自律神経のバランスがくずれてしまい、免疫力の低下を招くのです。

乾癬を改善するには腸内環境を良好にし自律神経のバランスを整えることが重要

免疫力の中心的な役割を果たすのが、免疫細胞の白血球です。白血球といっても1種類の免疫細胞ではなく、細菌などの大きな外敵(100分の1ミリ程度) をを攻撃する役割を持つ顆粒球や、ウィルスなどの小さな外敵( 1万~100万分の1) を退治する役割を持つリンパ球、単球などで構成されています。

交感神経が活発に働く日中は顆粒球の割合が増え、副交感神経が活発に働く夜間はリンパ球の割合が増えます。しかし、腸内環境が悪化して交感神経が優位になると、顆粒球の割合が増加して白血球のバランスが乱れます。

顆粒球は活性酸素(酸化作用の強い酸素) を放出して、細菌などの外敵を攻撃します。増えすぎた顆粒球から過剰に放出された活性酸素は、全身の細胞や粘膜を被壊し、炎症や湿疹などの症状を引き起こしてしまうのです。

近年急増している乾癬や帯状疱疹は、腸内環境を良好にして免疫細胞を調整しないかぎり、なかなか治りません。慢性化して、再発をくり返すことも少なくありません。腸内環境を整えて自律神経のバランスを正常にし、免疫力を強化することが、乾癖や帯状癒疹を改善するうえで重要なのです。