腸内細菌のためには死んだ善玉菌でもよい

善玉菌の棲んでいた溶液は、腸内細菌の餌

食事から生きた善玉菌をたくさん摂り入れても、すべての菌が腸に届くわけではありません。よく噛んで食べられたものは唾液と混ざり、胃に送られます。胃では、強力な殺菌作用を持つ胃酸によって、感染症の原因となる細菌やウィルスだけでなく、腸内細菌を活性化する菌たちも殺菌してしまいます。

ただし、胃という難所を通過するたくましい菌たちもいます。腸にたどりついた善玉菌たちは、細胞分裂によって短時間のうちに数を増やし、すでに腸内で働いていた仲間たちの働きを助けます。病原菌もときには胃を通過して腸に入り込んできますが、立派を腸内フローラが働いていれば、敵とみなされた異物は一網打尽に排除されます。

では、胃で死んでしまった善玉菌たちは、無駄死にかといえば、そうではありません。彼らもまた腸の働きに貢献してくれているのです。善玉菌が棲みついていた溶液が腸に届くと、それが腸にいる善玉菌を増やすことが最近の研究によってわかっています。

生きた乳酸菌 よりも 死んだ乳酸菌を 大事にしたい | 賢い乳酸菌生活

生きた善玉菌を摂り入れるのが「プロパイオティクス」で、善玉菌の餌となり、その働きを助ける食べものを食べるのが「プレバイオティクス」です。そして、この2つを同時に行うことを「シンパイオティクス」といい、近年、医学界でもさかんに注目を浴びています。

シンバイオティクスを実践すると、腸内で善玉菌が増えます。善玉菌が腸内で増えると良いことがたくさんあります。善玉菌の代表は、ビフィズス菌をはじめとする乳酸菌群です。乳酸菌群には、腸内を酸性に保つ働きがあります。多くの病原菌は、酸性の場所では生きていられません。乳酸菌群は、腸内を酸性に保つことで、外から入ってくる悪い菌の攻撃を防いでくれているのです。

また、腸は人体で最大の免疫組織です。腸には、約70パーセントもの免疫細胞が集まり、体全体の免疫システムを支えています。この免疫システムを活性化しているのが腸内細菌です。とくに善玉菌の乳酸菌群が腸内で増えると、免疫力は増強されます。乳酸菌群の細胞壁には強力な免疫増強因子があって、腸管にいる免疫細胞を刺激し、働きを活性化させることがわかっています。

シンバイオティクスが注目されるのは、善玉菌が増えると免疫力が高まり、病気をしにくくなる効果が高いからです。また、免疫力が強化されれば、近年、患者数を伸ばしているアレルギーの改善にも高い効果を期待できます。

毎日の食卓にてシンバイオティクスを実践していただきたいと思います。ポイントは、善玉菌と腸内細菌の餌を一緒に摂ることです。

味檜や納豆は酸に強く、腸まで届くプロパイオティクスです。味噌や納豆を毎日の食事で摂ることで、腸内細菌を増やせることは前述しました。

また、プレバイオティクスに良い食品としてまず挙げられるのは、ヨーグルトです。世界の長寿国といわれる有名なカフカス地方に位置するグルジア共和国では、1日3食、乳酸菌でつくつたヨーグルトを食べているそうです。ところが、ヨーグルトに豊富に含まれる乳酸菌やビフィズス菌の種類は、残念ながら大部分が胃酸に弱く、90パーセントが胃で死んでしまいます。ですが、乳酸菌やビフィズス菌が死んで腸に到達しても、腸内の善玉菌が増えることは前に述べました。乳酸菌やビフィズス菌が棲んでいたヨーグルト液には、自分たちの仲間を増やす因子が含まれているからです。

したがって、ヨーグルトを飲んでいると、たしかに善玉菌が増えてきます。しかし、私はヨーグルトを毎日すべての人が飲み続けることが必ずしも良いとは思っていません。なぜなら、日本人の中高年には糖分や脂肪分の摂取過剰な人が多いからです。

ヨーグルトの善玉菌は腸まで届かないことが多いので、善玉菌を増やすにはヨーグルトを毎日摂取しなければなりません。ですが、ヨーグルト液には糖分や脂肪分が多く含まれていますので、糖分や脂肪分の摂取過剰な人がヨーグルトを飲み続けていると体の調子がおかしくなってくるのです。

そのような人には、「乳酸菌生成エキス」を飲むことをおすすめしています。「乳酸菌生成エキス」は腸内に棲んでいる「自分の乳酸菌を増やす因子」が多量に含まれているからです。

もちろん、糖分や脂肪分が気にならない人にとっては、ヨーグルトはプレバイオティクスとしてとても良い商品であることは問違いありません。

食事で味噌や納豆、おつけものなどの発酵食品を摂ってプロバイオティクスを実践し、デザートやおやつに少量のヨーグルトを摂ってプレバイオティクスを実践すれば、完壁なシンバイオティクスになります。糖分や脂肪分の気になる人は、乳酸菌生成エキスを毎日飲むとよいでしょう。

なお、1品で完全なものを目指すのではなく、いくつかの食品を組み合わせたはうが、より完璧で健康的なシンバイオティクスを目指すことができると考えてください。