中高年の体は、酸素を使って エネルギーをつくりだす

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中高年になったら主食は食べないほうがいい

人体に搭載されたハイブリッドエンジンは、加齢とともに、解糖エンジンからミトコンドリアエンジンへと比重が移っていきます。個体差はありますが、40 代からだんだんと移り変わり、50歳を過ぎるとはとんどの人の体は、ミトコンドリアエンジンをメインに働かせるようになります。

中高年以降の体に求められるのは、持久力です。解糖エンジンの瞬発力は、あまり必要ではなくなります。解糖エンジンはエネルギー効率が良くなく、持久力としては使えないため、年を取ってくると、エネルギー効率が良く持久力に優れたミトコンドリアエンジンへとメインのエネルギー産生方法が移行するのです。

ミトコンドリアは、私たちが日々食べる食物から得る栄養素と酸素を原料として、効率良くエネルギーを産生しています。細胞内のミトコンドリアの数は、その細胞がどれだけエネルギー代謝を行うかによって違ってきます。

たとえば、脳や腸、筋肉、肝臓、腎臓などエネルギーの要求が大きい臓器の細胞には、数百から数千ものミトコンドリアが含まれます。一方、赤血球や皮膚の細胞には、ミトコンドリアがほとんど見られません。赤血球や皮膚は、解糖エンジンで動いているからです。

このように、年齢や細胞の働きによって、メインのエネルギー産生方法は変わります。また、ミトコンドリアエンジンでは、発動時に解糖エンジンの助けが必要となります。瞬発力のある解糖エンジンがまず動き、それを引き金としてミトコンドリアエンジンが動きだし、酸素を使って膨大で持続可能なエネルギーを産生します。

ですから、ミトコンドリア系にメインエンジンが移ったのちも、糖質がまったく必要なくなるわけではありません。しかし、多過ぎても困ります。ミトコンドリアエンジンがメインになったのちも解糖エンジンをフル稼働させていると、ミトコンドリアエンジンがうまく働けなくなってしまいます。誤作動を起こし、大量に取り込んだ酸素を活性酸素に変えてしまうのです。

ミトコンドリアエンジンでは、1日に500 リットル以上の酸素を呼吸によって取り入れ、食事から摂った栄養素を燃やし、エネルギーをつくりだしています。この過程で、約2 パーセントの酸素が活性酸素に変わります。ところが、メインエンジンがミトコンドリア系に移ったのちも糖質を摂り過ぎて解糖エンジンをフルに働かせていると、それ以上の活性酸素が発生するようになります。

中年期に入ったら糖質は徐々に減らしていき、高齢期に入ったらできるだけ摂らないひけつようにするのが、健康の秘訣です。メインエンジンが切り替わったのちは、主食やお菓子を摂らないはうが、体は快適に働きます。

ただし、我慢はストレスになるので禁物です。私ももとはご飯党でしたから、お楽しみ程度に昼食には五穀米を食べます。1日1回、五穀米を食べれば、ミトコンドリアエンジンに変わった体は十分に満足します。どうしても主食を摂りたいときには、白く精製されていないものを選んでください。玄米や全社粉のパン、十割そばなどならば、食物繊維が多いため消化吸収に時間がかかり、解糖エンジンのフル稼働を抑えられます。

一方、完全な糖質制限食を進める場合、炭水化物を含むイモ類などの根菜や豆類、果物なども制限されます。しかし、食べ過ぎなければ、私はこれらを適度に食べたほうがさよいと思っています。

それらの植物性食品は、腸内細菌の前になるだけでなく、活性酸素の幸を減らす抗酸化力を持っているからです。腸内細菌を元気にすることも、活性酸素の害を消すのも、健康な長寿人生には欠かせません。それを支える根菜類・果物を心配なく食べられるようにするためにも、主食は抜いておいたほうがよいのです。

日本人の4大疾病は「ガン・心筋梗塞・脳卒中・糖尿病」です。そのすべての発生に活性酸素が関与しでいます。活性酸素は、腸内細菌の働きを弱め、免疫力を落とさせます。中高年になると、何かしらの病気を抱える人が増えるのは、ミトコンドリアエンジンに切り替わったのちも若い頃と同じように主食やお菓子を食べ、解糖エンジンをフル稼働させているから、と私は考えています。

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