痛風とは、その名のごとく 「 風があたるだけでも痛い 」という病気です。ある日突然親指のつけ根に激痛が走って、歩くことも動かすこともままならなくなったという話を耳にしたことがあるのではないでしょうか?
痛風の原因は 「 尿酸 」 です。この尿酸がからだのなかに大量にたまることで痛風を引き起こします。尿酸は体内のプリン体の代謝によってできる老廃物です。
これが多くなると結晶化して関節などに沈着し、激痛をもたらします。尿酸値を上昇させる原因として、従来は肉の食べ過ぎやビールの飲み過ぎが挙げられていました。これらにはプリン体が多く含まれるからです。
しかし最近の研究では、食事からとり込まれるプリン体よりも、体内で生産されるプリン体のほうが多いことがわかっています。では、何が尿酸値を押し上げる原因となるのでしょう?
痛風専門医であり、自らも痛風患者である鹿児島大学病院内科元教授の納光弘先生は、尿酸値を上げる原因として「ストレス・肥満・大量の飲酒・激しい運動・プリン体のとり過ぎ」の5 つを挙げておられます。
これは重要な順から並べたもの。なお、極端な低カロリー食もストレスであり尿酸値が上がるので注意が必要です。糖質制限食が尿酸値に与える影響ですが、低下する人・変わらない人、上昇する人と個人差があります。ただ、上昇した人は半年から1年くらいで落ち着くケースが多く見られます。
尿酸値を上昇させる大きな原因のうち、肥満は糖質オフ健康法で確実に解消できます。自己治癒力がアップするので心身ともにストレスに強くなりますし、肥満解消に関しては何度もくり返してきたことです。長期的に見ると、尿朋酸値を抑えることにもつながると考えていいでしょう。
ただ痛いだけの 痛風 だと思ったら大間違い
痛風と聞くと、多くの人が 「 贅沢病ですごく痛いんでしょ? 」などとイメージを持っています。誤解が多いとはいえ、 痛風 という病気の存在は広く知られているようです。
一方、尿酸値について聞かれると、多くの人が首をかしげてしまいます。血圧や血糖値についてはよく知っているし、気にしているけど、尿酸値なんて聞いたことがないとか、尿の酸性度を表したもの? などという珍回答を耳にすることもあります。
実は、この尿酸値が異常に高くなった状態である「高尿酸血症」こそが、痛風を引き起こす要因となるのです。たとえば、血糖値の上昇が糖尿病を引き起こすことは、多くの人が認識するようになってきています。
日本人の新しい国民病といわれるほど患者数の多い糖尿病には、それだけ注目も集まり、認知度も高まっているわけです。しかし、痛風・高尿酸血症に関しては、同じように患者や予備軍が急増しているにもかかわらず、まだそこまでの認識の広がりはありません。
それだけに、痛風に関する予備知識がまったくないまま発作を起こす人も多く、そのあまりの痛さに七転八倒することになります。しかも、突然の激痛の原因がまったくわからないため強い、不安を感じ、精神的にパニック状態に陥ってしまうケースもあります。
症状が出ない高尿酸血症は現代人の生活習慣が誘因に
痛風発作は、ある日突然起こります。その原因になるのが体内の尿酸値の上昇ですが、尿酸値が痛風発作を起こす危険なレベルまで上がっても、自覚症状はほとんどありません。
痛風・高尿酸血症に関する知識がなかったり、定期的に健康診断を受けていなかったりすると、知らないうちにどんどん状態を悪化させてしまう危険性が高くなります。さらに問題なのは、尿酸値を上昇させるさまざまな危険因子が、現代人の生活習慣のなかにあふれていることです。
この点に関しては後で詳しく紹介しますが、たとえば、肥満です。肥満は周知のとおり、あらゆる生活習慣病の温床になります。痛風・高尿酸血症も例外ではなく、肥満の人の尿酸値は高い傾向があります。肥満と関連しますが、過食も尿酸値を上昇させる大きな原因になります。痛風は昔、ぜいたく病、帝王病などと呼ばれ、王侯貴族や一部の特権階級の人たちの間に多くみられました。
これは富と権力を独占した少数の人たちが美食にふけり、満腹するまで食べていたからにほかなりません。それ以外の人々は、痛風になるほど十分な食事はとれなかったわけです。現代人の食事内容は、かつての特権階級の人たちと同じくらい豊かになりました。このような食事を毎日続けていれば、だれもが尿酸値を上昇させ、痛風発作を起こす危険性があります。
酒、ストレスにも要注意、検診での早期発見が大事
このほか、アルコールの飲みすぎ、過重なストレスなども尿酸値を上昇させる大きな原因になります。仕事一筋でストレスをため込み、連日のようにつき合い酒という人も多いことでしょう。
ごく普通にみられる現代人の生活習慣が尿酸値を上昇させ、痛風を招くのです。突然の激痛発作を未然に防ぐには、痛風・高尿酸血症の基礎知識をしっかり身につけ、健康診断を受けて定期的に尿酸値をチェックすると同時に、健康的な生活習慣を確立することが大切です。
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