ダイエット、肥満解消には脂肪細胞の働かせ方が大事なポイント

にこにこ食べればメタボも解消できる

今以上に元気な心身で、毎日をもっとエネルギッシュに過ごしたいと思うなら、腸内細菌を元気にしてあげることは欠かせません。免疫力の7割は腸が、3割は心がつくります。最近の研究により、腸の働きを良くするのも、心の幸福感を増やすのも、腸内細菌であることがわかってきています。

ところが、その大事な腸内細菌を痛めつけてしまうものや事柄がいくつかあります。その1つが、肥満です。体が脂肪で覆われると、体内に活性酸素が絶えず充満したようになります。

活性酸素とは、体の細胞を傷つけ、さまざまな病気を引き起こす怖い物質で、非常に毒性が強く、これを浴びると腸内細菌が弱り、数を減らしてしまうのです。

肥満が体にNGであることは、周知のとおりですが、「なぜいけないのか」といえば、腸内細菌に与えるダメージが大きく、結果としてそれが健康を損なう原因になってくるからなのです。

そこで必要になるのが、ダイエットです。腸内環境を良くし、病気になりにくい心身をつくるためには、肥満解消が欠かせません。ダイエットとは本来「食事療法」の意味ですが、日本では「痩せること」に意味がすり替わり、「ダイエット」を名乗る運動療法が数多くあるという、おかしなことにもなっています。

しかし、食事療法に限ってダイエット法を見ても、いずれも基本が抜け落ちています。ダイエットに最も大事なことは、「食べ方」です。

ダイエット法の多くは、カロリー制限が基本です。カロリーとは、熱量の単位で、その食べものを摂ると体内でどの程度のエネルギーになるのかを数値化したものです。最近は、1食を500キロカロリーに抑えた献立レシピ集なども数多く出版されています。こうしたレシピ集も、ダイエットの根本をエネルギー制限に置いています。

しかし、よく考えてみてください。カロリーとはただの数値です。人には、「個体差があります。同じものを食べても、消費されるエネルギーは人によってまったく違い、エネルギーの消費効率の良い体を持つ人がいれば、効率の悪い体を持つ人もいます。消費効率の悪い体を持つ人は、おのずと太りやすくなります。

効率の悪い体を持つ人は、おのずと太りやすくなります。いろいろなダイエットを試したものの思うように痩せられず、リバウンドを繰り返しゃすいのも、ダイエットの負の側面です。ダイエットを成功させられない人は、エネルギーの消費効率の悪い、痩せにくい体をしていることをまずは自覚してください。

「おいしい! 」という感覚がエネルギーを消費させる

では、消費効率の悪い痩せにくい体質とは、どのようなものでしょうか。人の体は、約60兆個の細胞で成り立っています。それらの細胞の中には、細胞質内にしぼうてき脂肪滴を持った細胞が存在し、その数は数百億個といわれています。これが脂肪細胞とた呼ばれるもので、脂肪を溜め込むだけでなく脂肪の合成や分解なども行っています。

脂肪細胞には2種類があります。そのうちの1つ「白色脂肪細胞」は、脂肪を蓄積して、肥満の原因になる細胞です。脂肪を蓄えると数倍にも膨らみ、それでも蓄え切れないほどの脂肪が入ってくると、細胞分裂して数を増やしていきます。もう1つの「褐色脂肪細胞」は、脂肪を燃焼させる細胞で、運動などをしなくても脂肪を燃やし、体重を落とす作用を持っています。

消費効率の悪い痩せにくい体質とは、白色脂肪細胞が活発で、褐色脂肪細胞の働きが悪くなっている体のことです。そこで今、褐色脂肪細胞を増やして、肥満の治療をしようとする研究が進んでいます。褐色脂肪細胞には、脂肪をエネルギー源として効率的に消費し、熱を発散させ、肥満を改善させる働きがあるからです。

さて、食事の際に、本来その食品が持つ熱量以上に体温が上昇することが、しばしば観察されます。これを研究すると、「おいしい」「いい香り」などエネルギーになると思われていない感覚刺激が、実はエネルギーを消費させていることがわかったのです。

「おいしい」「いい香り」と味覚・喚覚などの感覚が刺激されると、交感神経が刺激されます。交感神経は、体内環境を整える自律神経の1つで、自律神経には活動の神経である交感神経と、休息の神経である副交感神経があり、両者は括抗して動いています。交感神経が刺激されると、ノルアドレナリンなどのホルモンが分泌されます。

ノルアドレナリンは、交感神経の神経伝達物質で、このホルモンが分泌されると交感神経は活動的になり、エネルギーの消費量が増すと同時に、褐色脂肪細胞の脂肪燃焼を誘導します。

こうなると、食事をしながらも脂肪の燃焼率がぐんぐん高まります。ダイエットに最も大事なのは「食べ方」と断言する理由はまさにここです。「『おいしい』と感じながら食べること」「大好きな人と食べること」「にこにこ食べること」の3つが、その献立が持つエネルギー以1 の熟を消費させ、痩せやすい体をつくるのです。

反対に、「『まずい』と思いながら食べること」「嫌いな人と食べること」「ストレスを感じながら食べること」は、褐色脂肪細胞の活性を落とし、エネルギーの消費量を最低限にし、白色脂肪細胞に脂肪を琴喜せることになります。

「仕事をしながら食べる」「つき合いで飲みに行く」「ランチ会議をする」「子どもに注意しながら食べる」「ストレス解消のために食べる」という食べ方は、いずれも太る食べ方です。こうした食べ方を続けていると、いくら摂取カロリーに気を使っていても、太りやすい体になっていきます。

イライラや不安、不満などを感じながら食べることは、腸内細菌にとっても良くありません。腸内細菌はストレスに悪い影響を受けやすいという性質があります。ストレスを受けると、大腸菌やバクテロイデス菌、クロストリジウム菌など悪玉菌と呼ばれる菌が増えてしまい、腸内での病原性が高まります。こうなると、体を傷つける有害物質が発せられ、病気になりやすい体になっていきます。

また、悪玉菌が増えると、腸年齢がどんどん年を取ります。腸年齢は、寿命の長さに逆相関します。膿年齢が高い人は早死にしやすく、勝年齢が若い人は長生きすることがわかっています。

「つき合いだからしかたがない」とお酒を飲みに行くお父さん、食事中に子どもや夫に小言を並べるお母さんに太っている人が多いのは、こうした理由があったのです。