便利生活は体を老化させる

1口30回噛んで活性酸素除去することで腸も脳も若返る

ストレスのほかにもう1つ、腸内細菌やNK細胞を阻害する見過ごせない物質があります。それが、活性酸素です。活性酸素の毒性は非常に強いものです。活性酸素に細胞が攻撃されると、細胞膜の脂質が酸化します。

酸化とは、サピることです。細胞膜がサビると、栄養と老廃物の出し入れをスムーズにできなくなり、細胞は老朽化します。また、活性酸素は細胞の核に納められた遺伝子を傷つけ、遺伝子が傷ついた細胞はガン細胞に変異したり、死滅したりします。しかも、腸内細菌やNK細胞は活性酸素に影響を受けやすくできていて、活性酸素を浴びると腸内細菌は数を減らし、NK細胞は活性を弱めるので、免疫力が落ちて命にかかわる病気を起こしやすくなるのです。

近年では、老化と活性酸素の関係についても、さかんに研究が行われています。アンチエイジングの専門家たちは、「老化とは酸化することと同じ」と言います。「白髪が増えた」「物忘れが多くなった」「肌のシミヤシワが増えた」「視力が弱くなった」などの老化現象は、細胞がサビついてきている証です。

ですから、病気を避け、老化のスピードを遅らせるには、活性酸素の発生土を抑え込むことが重大な鍵となるのです。そのための一番の方法は、よく嗜んで食べることです。

唾液には、活性酸素の害を抑え、消去する抗酸化作用のある酵素が含まれています。具体的には、カタラーゼ(CAT)やスーパーオキシダーゼ(SOD )、ペルオキシダーゼ(POD)などの酵素が、消化酵素とともに含まれていて、発ガン物質の毒出し作用があるものもあります。

これらの酵素は、唾液の中にたくさん含まれます。唾液は、噛めば嗜むはど分泌暮が増えるので、体の抗酸化力を高めるには、唾液をたくさん出しながら食べることが重要です。噛むことで活性酸素を消去するには約30秒間かかりますから、1回l秒、ゆっくりと計30回噛むことが必要です。この食べ方が病気を防ぎ、老化を遅らせるのです。しかも、よく噛んで食べると記憶力が高まることがわかっています。1口30回噛んでいると、脳の前頭前野と海馬が刺激され、活性化されるのです。

前頭前野は、思考計画の立案や学習行為などをつかさどる、脳の中で最も知的で論理的な働きをする部分で、海馬は「記憶の司令塔」と呼ばれます。論理的な思考力も記憶力も、中高年になるにつれだんだんと衰えていく分野ですが、よく噛んで食べるだけで活性化されるのですから、実践する価値は高いでしょう。私も毎食、1口30回を実践しています。

私たちがよく噛んで食事をするべき理由は、もっと現実的なところにもあります。困ったことに、私たち現代人の周りは、活性酸素を出すものであふれているのです。私たちの体を構成する細胞や免疫システムは、ジャングルや草原を裸同然の姿で走り回つていた1万年前からまったく変わっていないことがわかっています。

ところが、文明が発達したことにより、生活環境だけが様変わりしました。私たちの細胞には外からの影響で活性酸素が発生しますが、細胞内でも活性酸素が生じます。活性酸素は自分たちの細胞をサビさせたり、障害を起こしたりしますが、その強い攻撃力で体内に侵入したウィルスや細菌を退治するという役目もあるのです。

つまり、活性酸素も免疫機能の一部なのです。現代の生活環境は、快適で便利で清潔で暮らしやすいものですが、体は1万年前になかったものに触れると、それを敵だと勘違いし、活性酸素を発生してしまうのです。

たとえば、駅の改札を通ってICカードを機械に触れさせるたび、私たちは大量の電磁波を浴びています。電子レンジやIHクッキングヒーター、携帯電話、パソコン、テレビ、ドライヤーなど、電気を使うものはすべて電磁波を発します。

とくに、体と近距離で使うものほど、活性酸素を発生しやすいと考えられます。また、大気汚染やシックハウスなど化学物質を含む空気、食品添加物や水道水、抗菌グッズなど、化学物質の含むものも活性酸素を発生させます。現代人の生活と活性酸素の発生は、切っても切れない関係にあるのです。病気を防ぐには、活性酸素の発生量を抑えることが大事です。それには、1 口30回よく噛んで唾液をいっぱい出して食事をする食べ方が、どうしても必要なのです。

ダイエットの面からもよく噛んで食べることはとても大切です。同じ量を食べても食べ方の工夫で痩せられる