お酒 我慢 ストレス 対策は酒量を減らすことです。何が何でもお酒をやめる必要はないのです。酒量を減らせば悪影響はありません。
ビール 1日2本 お酒 2合 までなら健康に悪影響はない
みなさんが病気にならずに長生きしたいと考えたとき、真っ先に思うのは、お酒はやめたほうがよいのかどうか、ということでしょう。結論をお話しする前に、ストレスと腸内細菌の関係からお話ししましょう。
人体には免疫システムが備わつています。免疫には、自己と非自己を区別する能力がぁり、病原菌や異物などの非自己を排除して病気から体を守っています。免疫が体内で正常に働いているからこそ、私たちの体はガンなどの重大な病気のほか、感染症を防ぎ、アトピーや気管支喘息などのアレルギー疾患を予防できています。また、生きる力や心の問題、アンチエイジング( 抗加齢)にも関係していることが明らかになっています。
つまり、免疫とはその人の生きる力そのものです。その免疫の70 パーセントを腸内細菌がつくつています。腸には人体で最大の免疫組織があって、腸内細菌がその免疫組織を活性化しているのです。腸内細菌がいなければ、免疫組織は働くことができません。では、腸内細菌は腸の中でどのように存在しているのでしょうか。
日本人の腸管は、広げればテニスコート1面分もの面積を持ちます。そこには多種多様な腸内細菌が集合体をつくって生息しています。その眺めが、まるでお花畑のように美しいのです。そこから、腸内細菌の集合体は、腸内フローラと命名されました。
腸内フローラは成人で500種類以上もあります。細菌の種類でいえば100兆個、重さに換算すると1〜2キログラムにもなります。この壮大な腸内細菌を便宜上分類するために、働き方のタイプから「善玉菌」「悪玉菌」「日和見菌」と区別しています。
腸内フローラの美しさは、実は、腸内細菌の縄張り意識の強さがつくりだすものです。腸内細菌は、体に悪さをする菌が侵入してくると、侵入者を排除するために攻撃を繰り返します。食べものも病原菌も体内に吸収されるのは腸からであり、腸内フローラがしっかり働いていれば、人は病気にならずにすむのです。
腸内フローラが健全に働くために第一に重要なのは、「善玉菌いっぱい、日和見菌はどはど、悪玉菌少々」というバランスです。ところが、心理的あるいは身体的ストレスが、善玉菌を減らし、悪玉菌を増やしてしまうのです。
九州大学の須藤信行教授らのグループが、ストレスと腸内細菌の関係について系統的な研究を行っています。生体が有害なストレスを受けたとき、脳内や交感神経からは「カテコラミン」という神経伝達物質が分泌されます。カテコラミンは消化管の局所に直接的な影響を与え、腸内細菌に影響を与えることが明らかにされました。
カテコラミンが体内で放出されると、動悸、血圧の上昇、発汗、血圧上昇、覚せい、血圧凝固系の克進など、体内でさまざまな変化がもたらされます。カテコラミンの放出は、人体がストレスにさらされていることを知らせる生体反応です。
須藤教授の研究では、腸がカテコラミンにさらされると、大腸菌などの悪玉菌は増殖が進み、腸管局所でも病原性が高まっていました。ストレス過剰な生活を続けていると免疫力が落ち、心身ともに病気になりやすくなるのは、悪玉菌の病原性が高まり、腸内細菌のバランスが乱れてしまうことに原因があったのです。
また、免疫細胞のNK細胞も精神的ストレスの影響を非常に受けやすい性質があります。NK 細胞の働きがストレスの影響によって弱まると、ガンになりやすくなります。
大好きな人と楽しく、ほどほどに飲む
結論から言えば、禁酒が大きなストレスになるのならば、お酒はやめないほうがよいのです。
私たちは、両親からアルコールの分解酵素を受け取っています。両親からともにそれぞれ分解酵素を受け取った人は、お酒の飲める人で、飲むことが心から楽しい人です。よく「休肝日を週に1日はつくりましょう」と言いますが、お酒の飲める人に休肝日は必要ありません。お酒を休むことが、かえってその人のストレスになって悪玉菌を増やしてしまうからです。
お酒の飲める人の遺伝子が、飲酒によってどう障害されるのかを示した実験結果によると、ビール大ビンの半本を飲むと、遺伝子の障害の度合いが、飲んでいないときの半分まで下がります。2本までならば、飲んでいないときと同じです。つまり、お酒が好きな人にとっては、ビール半本、日本酒半合までならばかえって体に良く、ビール2本、日本酒2合までならば、体に影響を与えないことがわかったのです。ただし度を越してはいけません。飲み過ぎは腸内バランスを乱し、命を縮めます。気の合う人と楽しく飲むことも大事で、嫌いな人と飲むとストレスで免疫が下がり、体のためになりません。
一方、両親のうち、片親からしか飲める酵素を受け継がなかった、ビール1杯飲んだだけで顔が真っ赤になるような人は、自分が飲みたいときにだけ楽しい気持ちで飲むよぅにしましょう。
お酒も訓練すれば、量を飲めるようになりますが、このタイプの人が「つき合いも大事だから」と無理に飲んでいると、10倍以上の確率で食道ガンになるという統計もあります。両親から酵素をまったく受け継がなかったいわゆる下戸の人は、お酒がストレスになりますから、飲まなくてよいのです。酒宴の場にいるだけで楽しいという人は、参加してもお酒は笑顔で断り、会話だけ楽しむとよいでしょう。最近は、ノンアルコール飲料も増えていますのでこちらにしておきましょう。
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