「腹ヤセ脳」と一致するもの

こちらの記事で紹介されているとおり、腹ヤセ脳になるためには、自らの生活習慣を観察・記録する「セルフモニタリング」が必要です。セルフモニタリングをやれば、

  • よくかんで食べる
  • なるべく階段を使う

といった行動に対する体重の変化を、はっきりと把握することができます。

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セルフモニタリング のやり方は簡単。 セルフモニタリングシート を用意し、行動日標と達成度合いの評価、体重・腹囲などの測定値を毎日記録するだけです。行動日標は、食事と運動でそれぞれ3個まで、合計で最大6個、設定して記入します。

ここで、 「 10 kgやせる! 」 といった体重の数値目標がないことに、疑問を持つ人もいるかもしれません。実は、腹ヤセ脳をひけつ作る第二の秘訣は、「体重の目標設定をやめること」なのです。

ダイエットの目標設定では、

  • 体重 5 kg 減
  • ウェスト 10 cm 減

といった数値目標を立てるのが一般的。しかし、こうした数値目標を立てると、逆にダイエットで監視する危険が高まるのです。ダイエットを始めても、体重が減りだすのには時問がかかります。そこで、体重の数値目標を決めてしまうと、短期問で達成したいと無理をしがちになります。その結果、

  • がんばってもやせられない
  • 何をやっても成果が出ない

とあきらめ、挫折してしまうのです。

また、がんばって目標を達成したとしても、急激に体重を落とせば、それだけ リバウンド ( 体重がもとに戻ること ) をする確率も高くなります。 腹ヤセ脳 を作るためには、 体重 や 腹囲 などの数字ではなく、「何をするか」という行動を目標としてください。

そのさいに重要なのは、他人に強制されることなく、「やってみたい」「続けられそう」と思える行動日標を自分自身で決めることです。人は、自分で決めたことに対しては、前向きに取り組むことができます。行動日標を自分で決めれば、やる気も高まり、ダイエットを成功へと導くのです。

毎日、体重測定をして増減を予測する

体重の目標設定をやめるといっても、体重の変化を無視するわけではありません。体重は毎日測定し、記録してください。体重は、腹ヤセ脳になった結果を評価するための基準とするのです。体重は、1日1回、決まった時間、常に測るようにします。体重計は、100g単位で体重を正確に測れるデジタル式を使うようにしましょう。毎日体重を測る習慣ができると、体重計に乗る前に自分の体重が予測できるようになります。

  • 今日は通勤時に階段を使ったから500g減っているかな
  • 昨晩お酒を飲みすぎたから300g増えているかも

といった具合です。もっとも、予測を的中させることが目的ではなく、予測どおり減っていても増えていても、なぜそうなったかという原因を考えることが大事です。

こうして自らの行動をセルフモニタリングすれば、行動と成果が結びついて、やる気が高まるのです。とはいえ、体重が確実に増えていそうな日は、あえて体垂を測らなくても大丈夫。体重計の数字を見てショックを受けるくらいなら、体重計に乗らない日にしてしまったほうが、結果的に長続きします。

息苦しく感じずに余裕を持って行うのが、腹ヤセ脳にすぐなる大事なコツです。毎日の体重測定に慣れてきたら、体重を折れ線グラフ化すると、より効果が高まります。グラフにすれば体重の変化が日に見えてわかりやすくなるため、 ダイエット が楽しくなるでしょう。グラフの目盛りは 1 kg 単位でなく 100 g 単位にすれば、わずかな体重の変化が大きく感じられ、さらに親しみがわきます。

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強制ダイエットは失敗するケースがほとんど

現代人のストレスは増大し、結果、日本人の肥満の割合は男性が32%、女性が21.8%と報告されています。暮らしが豊かになったはずなのに比例してストレスも増大しているので肥満度も上昇しています。

太ったままでいると、見た目が悪いいばかりか、糖尿病・高血圧・動脈硬化(血管の老化)・脂質異常症(血液中に脂質が異常に増える病気)といった生活習慣病を招く危険が高まります。その結果、心筋梗塞や脳梗塞といった、突然死も招く病気が起こりやすくなるのです。

突然死は防ぐには

とはいえ、肥満を解消するのは、けっこう難しいもの。食事量を減らしたり、運動をしたりして一時的に体重が落ちても、リバウンドせずに理想の体重と体型を維持できる人は、驚くほど少ないのです。実は、その理由ははっきりしています。

やせられない人は、「やりたくないな」と思っているダイエット法を、「我慢してやればやせられる」と思って自分に強制しているからです。

そういったダイエット法を、私は「強制ダイエット」と呼んでいます。例えば、健康診断で肥満を指摘されると、「体重を5kg減らす」「運動を心がける」「摂取カロリーを減らす」「お酒を控える」など、減量法を具体的に指導されます。確かに、カロリーが高い食べ物を我慢して運動量を増やせば、誰でもやせられるでしょう。

ところが、太っている人は、甘い物や揚げ物が大好きで、運動が大嫌いな人が多いのです。好きなことを我慢して、やりたくないことをイヤイヤ行えば、途中で挫折するのは目に見えています。

ダイエットを行うのは、生身の人問です。人間の心理状態を無視した強制ダイエットが成功するはずはありません。工夫次第で、もっと簡単に生活を変えられ、おなか太りもリバウンドもない人生を過ごすことができるのです。その方法は極めて簡単。脳を「腹ヤセ脳」に変えるだけです。

腹ヤセ脳とは、簡単にいえば、自分の中にある「思い込み」に気づき、自分から行動を変えていく思考法です。大学病院の肥満外来で診療を行う私が、脳を腹ヤセ脳に変えるダイエットを考え出したのは、従来の強制ダイエットでは思ったような成果が出なかったからです。

そこで、誰かに強制されるのではなく、自分で主体的にダイエットに取り組むために、知り合いの心理学の先生に「認知行動療法」を教えてもらい、それをもとに独自に、腹ヤセ脳になるダイエットを考え出したのです。

私は、肥満外来で比較試験を行いました。25人のグループを2つ作り、それぞれ、強制ダイエット(食事療法と運動療法)を行ってもらいました。そして、そのうち1つのグループには、強制ダイエットに加え、認知行動療法によるカウンセリングも併せて行いました。つまり、このグループは、腹ヤセ脳になった状態ででダイエットを行ったと考えていいでしょう。

その結果、6ヶ月後には、腹ヤセ脳になるダイエットを行ったグループは、強制ダイエットのグループに比べ、約2倍(平均6kg) の減量効果があったのです。さらに、その後の6ヶ月を追跡調査すると、腹ヤセ脳ダイエットを行ったグループでは」リバウンドが起きにくいことも判明しました。一方の強制ダイエットのグループでは、一時的にはやせますが、途中で挫折してしまう人も多く、リバウンドも多いことが明らかになっています。

この結果の違いは、ダイエットを楽しんだかどうかの差と考えていいでしょう。つまり、腹ヤセ脳になったグループでは、楽しみながら運動や減食ができるように、生活習慣や行動を自ら変えた結果、効果が高まり、リバウンドも起こらなくなったのです。

さらに、体重が減るという成果が現れると「やればできる」という「自己効力感」が高まります。自己効力感とは、事実に基づく自信のようなもので、これがあると、ダイエットに取り組む意欲もますます強まります。これが、腹ヤセ脳のグループに挫折やリバウンドが少ない理由と考えられます。

これからダイエットに挑戦しようとしている人は、ぜひこの結果を参考に、まずは脳を腹ヤセ脳に作り変えてください。成功率が高まるはずです。

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