菊芋に含まれるイヌリンは、ヨーロッパでは天然のインスリンとして使われているほどです。
天然 インスリン間違いない効果!自分の体で試してみた
日本人の糖尿病の多くは、2型糖尿病といわれるものです。これは、食べすぎや運動不足、肥満といった悪い生活習慣によって、血糖値(血液中のブドウ糖の濃度を調節するインスリンというホルモンが不足したり、その働きが悪くなったりして起こります。
2型糖尿病の場合、食事の見直しや継続的な運動といった方法で改善することができます。しかし、こうした対策は、そう簡単にできることではありません。長い生活習慣や食習慣を変えることは意外に困難だったりするのです。頭で考えるとすぐに出来そうな気がするんですけど。
特に、糖尿病の患者さんにとって、厳しい食事指導は精神的に大きな負担になります。好きな食事がとれず、医師や管理栄養士に食事を厳しくチェックされ、まだ不十分だしかと顔ごなしに叱られることも少なくありません。患者さん本人だけでなく、毎日の献立を考える家族の負担も大きくなります。
その結果、治療を遠ざけてしまい糖尿病が悪化し、合併症まで招くケースも少なくないのです。内科医師として28年以上も糖尿病の患者さんを中心に診療している私は、「気軽に続けられ、患者さんや家族の負担が軽い治療法はないのか」と、常に考えるようになりました。
そして、少しでもいいと思われる治療法があれば、問題がないと確認できたものを患者さんに提案してきました。そんな中、手軽にとれて食後の血糖値の安定に役立つ食品に出合いました。それが北米原産の「キクイモ」です。
キクイモは正確にはイモではなく、キク科の植物です。花がキクに、根茎がイモに似ていることから、キクイモと呼ばれるようになりました。日本には江戸時代末期に伝来したといわれ、日本各地で見ることができます。また、食用としてだけでなく、薬としても古くから注目され、欧州では傷の治療薬や、便秘薬としても用いられたと記録されています。
さらに、近年になって、キクイモに高い血糖値を下げたり糖尿病の合併症を防いだりする働きのあることがわかりました。そのことを知った私は、キクイモを糖尿病の治療に役立てることができないかと考えましたが、医師である以上、問違いなくいいと確信が持てないものを、患者さんにすすめるわけにはいきません。
そこで、まず自分自身でキクイモを試してみたのです。私は、キクイモから作られた焼酎を取り寄せ、飲んだあとの血糖値の変化を加調べることにしました。
そのさい、血糖値を上げる糖質たっぷりの焼きそばや唐揚げなども食べながら、友人3人といっしょに、4合ビンのキクイモ焼酎を飲み干しました。
すると、私を含めた全員の食後血糖値が、最大で60mg/dl、平均で30mg/dl以上も下がっていたのです。この結果に驚いた私は、その後、糖尿病の患者さんにキクイモをすすめるようになりました。そして、キクイモを糖尿病の治療に取り入れた結果、多くのすばらしい作用を確認できています。
国内外で血糖降下作用が確認された
ハンガリー市民病院のアンゲリ博士が行った試験が桁介されています。ハンガリーはかつて、肥満と糖尿病の患者さんが多い国でした。
そこで、アンゲリ博士らのグループは、2型糖尿病の患者さんにキクイモを2年間とってもらったとのことです。すると、2型糖尿病の患者数は試壁別に比べて約2分の1に減り、血糖値が基準値で安定し完治したと認められる人もいたそうです。
また、日本国内で実施された研究でも、空腹時血糖値とヘモグロビンA1C(1 ~2ヶ月間の血糖値の推移を示す値。6.5%以上で糖尿病と診断される。)の数倍が下がったとが確認されています。
ヘモグロビンA1Cの高い糖尿病の患者さん25人にキクイモをほ過にわたってとってもらった結果、最後までキクイモをとりつづけた8人のヘモグロビンA1Cが、平均で6.8% から6.5% へと有意に低下したのです。
この試験結果は、もちろんすばらしいものですが、実際にキクイモを治療の一環として使っている私は、この試験結果を超える数値の改善をいまくつ目の当たりにしています。
例えば、ヘモグロビンA1Cが8.3%あった患者さんは、キクイモを糖尿病の治療食に取り入れたところ、1ヶ月半で6 .8%まで下がっています。
このように、高血糖を改善する働きの強いキクイモは、まさに天然のインスリンイモといえるでしょう。天然の食品のため副作用もなく、安心して食べられることも大きな利点です。糖尿病や糖尿病予備軍の人は、治療の一助としてぜひキクイモを利用してほしいと思います。
イヌリンの働き まとめ
イヌリン(Inulin)は、多糖類(糖の分子が多く連結した形態の炭水化物)の一種で、植物の根、塊茎、根茎、種子などに広く存在する食物繊維です。主に以下の点で特徴づけられます:
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非消化性食物繊維: イヌリンは人間の消化酵素によって分解されず、小腸でほとんど吸収されずに大腸まで達します。このため、エネルギー源としてのカロリーを提供しない非消化性の食物繊維です。
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プレバイオティクス: イヌリンはプレバイオティクスとして知られ、腸内細菌にとって良い栄養源となります。腸内細菌はイヌリンを発酵し、短鎖脂肪酸(SCFA)と呼ばれる化合物を生成します。これらのSCFAは腸の健康に寄与し、免疫機能や炎症の調節にも影響を与えます。
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血糖管理: イヌリンは、血糖値の急激な上昇を抑える助けになることがあります。食事に含まれるイヌリンは、炭水化物の吸収を遅らせ、食後の血糖値スパイクを緩和する可能性があります。
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腸内細菌叢のサポート: イヌリンは腸内細菌叢(腸内の微生物群)にとって重要なエネルギー源であり、健康な腸内細菌叢の維持に寄与します。健康な腸内環境は、免疫システムや代謝に影響を与え、様々な健康上の利益をもたらすことが知られています。
イヌリンは、アーティチョーク、チコリ、アグベ、菊芋(Jerusalem artichoke)などの食品に含まれています。一般的に、食物繊維としてのイヌリンを摂取することは、腸の健康を促進し、血糖管理に寄与する可能性があるため、バランスの取れた食事の一部として取り入れることが勧められます。ただし、個人差があり、大量に摂りすぎると腸の不快感を引き起こすことがあるため、適度な摂取が大切です。
菊芋 糖尿病に効果があるのは
菊芋(Jerusalem artichoke)は、食物繊維やインスリンの含有量が多く、糖尿病管理に役立つ可能性がある食材として知られています。以下は、菊芋が糖尿病に対して効果がある理由についての詳細です。
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低い糖質含有量:菊芋は炭水化物を含みますが、その主成分はインスリンにほとんど影響を与えない非消化性の食物繊維であるイヌリンです。そのため、血糖値の急激な上昇を引き起こしにくく、糖尿病患者の血糖コントロールに役立つ可能性があります。
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イヌリンの効果:菊芋に含まれるイヌリンは、腸内細菌によって発酵され、短鎖脂肪酸(SCFA)の生成に寄与します。SCFAは、腸内環境を改善し、腸内細菌叢をサポートする役割を果たします。正常な腸内細菌叢は、糖代謝に関連するホルモンや物質のバランスを調整し、血糖値の管理に寄与することがあります。
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食物繊維の効果:菊芋は食物繊維が豊富で、食事中に摂取することで満腹感を高め、食事の後の血糖値上昇を緩和する可能性があります。また、食物繊維は消化吸収速度を遅らせ、血糖値の急激な上昇を防ぐ助けになります。
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インスリン感受性の改善:一部の研究によれば、菊芋の摂取がインスリン感受性を改善する可能性があるとされています。インスリン感受性が高まることで、糖尿病患者の血糖値のコントロールが向上する可能性があります。
ただし、糖尿病の管理には個人差があり、菊芋を摂取する前に医師と相談することが重要です。また、菊芋を摂取する際には適切な量を守り、他の食事や治療計画と調和させることが必要です。糖尿病患者は、専門家のアドバイスに基づいて食事療法を調整することが大切です。
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