「ひざ痛」と一致するもの

右ひざが、なんともいえない痛みに襲われるようになったのは、5~6年前のことです。ズキズキ、シクシク痛んで、歩くのもやっとでした。

整形外科で診てもらうと、加齢による ひざ痛 だと言われ、ひざにたまった水を抜いたり、ヒアルロン酸の注射をしたりしました。しかし、いっこうによくなりません。

ぎっくり腰 も再発していない

鍼灸院でお灸もしてもらいましたが、そこでも痛みは改善しませんでした。お灸の先生の話では、ひざの痛みは腰からきているそうです。

そういわれれば、私は腰痛持ちで、昔からよく ギックリ腰 を起こしていました。年に2~3回はギックリ腰となり、一度起こると、2~3日は痛みで動けなくなってしまいます。自宅でもするようにと教えても
らったのが、 「 くの字ストレッチ 」 でした。

実は、私は体が非常に硬く、ひざが曲がり、太ももの裏もガチガチでした。整体のときにほぐしてくれていましたので、 くの字ストレッチ を教えてもらったときは、だいぶ柔らかくなっていました。

私は、 「 くの字ストレッチ 」 を週に1~2 回、スポーツジムに行ったときに、準備運動としてやっています。行うのは1分くらいで、50回くらいペコペコと上半身を動かします。鏡を見ながら姿勢を確認していますが、太ももの裏の突っ張った感じで、正しくできているかどうかわかるようになりました。

くの字ストレッチ 」 を始めてからは、太ももの裏が伸びてひざが柔軟になり、ひざの痛みがスッキリなくなりました。

さらに驚いたのは、あれからバッタリ、 ギックリ腰 が再発していないのです。ちょっと腰が痛いな、というときに、 「 くの字ストレッチ 」 を行うと、ひどくならずに済みます。今は、予防のためにくの字ストレッチを続けています。体を整えるために、これからも続けていくつもりです。

ひざ痛 の原因の1つに、腰が硬いことがあります。体をねじるとき、腰を中心にねじるのが普通ですが、腰が硬くてねじれないと、ひざでねじろうとしてひざに負担がかかります。

それで、ひざを痛めてしまうのです。腰が硬いとき僧、骨盤が後ろに傾いています。くの字ストレッチをすると、骨盤の位置が修正され、ひざ痛が改善し、ギックリ腰も予防できるのです。

体は、正しく使っていれば、どこも痛くならないし、調子が悪くなることもありません。

私がそれに気付いたのは、かつて、林業の仕事に携わっていたときでした。チェーンソーを担いで山を切り開き、何百本もの木の苗を背負って山道を登り、植林をする重労働です。

膝が曲がると猫背になる

このきつい仕事を、涼しい顔でサッサと手際よくやる職人が何人かいました。なかには、小柄で細い体格の人もいましたが、彼らは皆、疲労が少なく、ケガもしません。

不思議に思った私は、職人たちの動きをよく観察するようになりました。その後、整体を学ぶようになり、その遠いがわかってきました。

彼らは誰もが太ももの裏側の筋肉が柔らかく、太もも裏を伸ばすことによって、 ひざ裏 を柔軟に使っていたのです。

ひざ がいつも曲がっている状態だと、 太もも の裏側の 筋肉 がうまく使えません。太ももの裏側の筋肉とは、大腿二頭筋、半腱様筋、半膜様筋からなる筋肉群のことで、ハムストリングスとも呼ばれます。

ひざを曲げたり、股関節を伸ばしたりするときに使い、姿勢を維持したり、歩いたりする動きに関係する重要な筋肉です。

ひざが曲がり、太もも真の筋肉が硬くて伸びないと、骨盤は下に引っ張られ、後ろに傾きます。すると、お尻が下がって腰が前に出て、背中が前屈みになります。これがネコ背です。

ネコ背になると、肩甲骨が広がって、肩が前に出ます。 すると、胸郭は押しっぶされ、肺は空気を取り込みにくくなり、呼吸が浅くなります。

呼吸が浅くなると、血液やリンパ(体内の老廃物や毒素、余分な水分を運び出す体液)の流れが滞り、免疫力が低下していきます。ストレスにも弱くなり、うつ病など、心の病にもなりやすいのです。そこで、私が勧めているのが 「 くの字ストレッチ 」 です。

これは、太ももの裏を伸ばすことによってひざ裏を柔軟にして骨盤を正しい位置に整える体操です。<

ぎっくり腰の人がその場で歩いて帰れた

実は、くの字ストレッチは、私が整体をするときに、いちばん疲れない姿勢を体操にしたものです。やり方は、上体を前に倒して、上下に動かすだけなので、誰でも簡単にできるし、場所も取りません。しかも行うのは、1日にたったの1分です。 注意点は、2つあります。1つは、体を前に倒したとき、できるだけお尻を後ろに突き出し、かかとに垂心をかけること。

これが最も、体が安定する姿勢で、どんなに押されても転びません。 2つ目は、骨盤から背中、首までを1枚の板のようにイメージして体を動かすこと。この姿勢によって、太もも真の筋肉を伸ばします。この2点に注意して、体をリズミカルに動かしてください。l分間に100回を目標に、最初は20~30回から始めるといいでしょう。

筋肉は、使っていないと縮む一方で、伸びなくなってしまいます。この体操は、太ももの裏を伸ばすことによって、ひざ裏を柔軟にして、元の弾力のある状態に戻す体操です。最初は、ひざ裏やふくらはぎが突っ張って痛いでしょうが、そのうち、太もも真の上のほうが突っ張ってきます。これが、「太ももの裏が伸びた」感覚です。

くの字ストレッチをすると、首、肩、腰、ひざの痛みはもちろんのこと、ネコ背が改善して姿勢がよくなります。片頭痛や耳鳴り、うつ症状が改善した人もいました。また、おなかがへこむなど、やせる効果も期待できます。続けるうちにO脚が治った人もいました。 太ももの内側と外側のバランスが整うので、足の形がきれいになるのです。ギックリ腰で来た人が、この体操をした後、スタスタ歩いて帰ったこともあります。くの字ストレッチができるようになったら、歩いたり、しやがんだりするときの日常の動きでも、ひざ裏を柔軟に使ってください。そうすれば、腰やひざに負担がかからず、痛み知らずで軽快な体に必ずなります。

くの字ストレッチ のやり方

  1. 足を腰幅より広めに開く。足先は平行に。
  2. 股関節から上体を前に倒しながらおしりを後ろに突き出す。
  3. 手をひざ、または太ももの上にのせて太ももの裏側のハリを維持したままひざを少しだけ曲げる。
  4. 骨盤、背中、首が1枚の板になったようにイメージして股関節から上半身を上下に細かく動かす。これを1分間に100回行う。

体が柔らかい人は、若々しい。経験的にも、整形外科医の立場からも、これは問違いなく言えます。ところが、意識して筋肉を鍛えたり、体を動かしたりしていないと、加齢によってだんだんと体が硬くなり、姿勢が悪くなり、あちこちが痛くなってきます。

ひざが曲がり、お尻が落ち、背中が丸まってきます。このような加齢による姿勢の悪さ(不良姿勢) には、主に3つの理由があります。

加齢で体は硬くなり姿勢が悪くなり血流が悪化

  • 背骨がつぶれて背中が丸くなるもの。骨粗鬆症(カルシウムの不足により骨がもろくなる病気)による 圧迫骨折 が代表的なものです。
  • 脊柱管狭窄症(背骨内部の神経の通り道が狭くなり神経が圧迫される病気)によるもの。この病気は背中を丸めると痛みやしびれが軽減するため、姿勢が悪くなります。
  • 太ももや股関節周りの筋肉が硬くなって、姿勢が悪くなるものです。

1と2は骨に問題があるので自力での改曲背は難しいですが、3は、自己努力で改善させることができます。

カギとなるのが、太ももの裏にある、 ハムストリングス という筋肉です。 「ゴロ寝ひざ裏伸ばし」は、簡単に ハムストリングス を柔らかくするのに役立つ体操です。

では、ゴロ寝ひざ裏伸ばしを行うにあたりあなたのハムストリングスは硬いかどうか、簡単な方法で調べてみましょう。

まず、足を肩幅に開き、ひざ裏を伸ばしたまま前屈します。指先が床につかなかったら、 ハムストリングス が硬くなっている証拠です。

次に、太ももの前側の筋肉を調べます。床にうつぶせに寝て、ひざを曲げ、かかとをお尻につけます。足先やかかとがお尻につかなかったら、太ももの前側の筋肉が硬くなっています。

変形性膝関節症やひざ痛がある人は、この動きは行わないでください。 どうでしょうか?どちらも硬い、という人のほ、りが多いのではないでしょうか?

股関節を曲げたまた膝裏をのばす

ゴロ寝ひざ裏伸ばし の特徴は、股関節を曲げたままの状態で、ひざ裏を伸ばすことです。前屈運動は、ひざ裏を伸ばしたまま股関節を曲げる運動ですから、まったく逆になります。 では、なぜ ゴロ寝ひざ裏伸ばし で腰痛や不良姿勢が改善するのでしょうか。

ハムストリングス は、ひざ裏の少し下から始まり、股関節を通って骨盤に付着している2関節筋です。

ですから、ハムストリングスが硬いと、骨盤がハムストリングスに引っ張られて回転しにくくなります。 ハムストリングスと括抗関係にあるのが、太ももの前側にある大腿四頭筋です。ひざを伸ばすと、大腿四頭筋が収縮し、ハムストリングスがゆるみます。

ゴロ寝ひざ裏伸ばし その1では、この2つの筋肉の相反抑制反射(曲げ伸ばしをするときに括抗筋がゆるんで動作をしやすくなる反射)を利用しています。

拮抗筋(きっこうきん)とは、筋肉運動の際に反対の動きをする筋肉のことです。

股関節を曲げたままひざ裏を伸ばしていくと、大腿四頭筋が収縮します。すると、括抗筋である ハムストリングス は、その反射で自然にゆるむため、伸ばしやすくなるのです。

このように、筋肉の反射で ハムストリングス がゆるむと、前屈運動のように無理な負担がかかりません。 ですから、らくにストレッチができるのです。

ハムストリングス が硬い人は、太ももの前側も硬くなっています。そこで、 ゴロ寝ひざ裏伸ばし で太ももの前側の筋肉をゆるめます。こうして太ももの後ろと前の筋肉をゆるめると、骨盤にかかつていたロックがはずれて骨盤が開放され、可動域が広がり動きやすくなります。すると、前かがみになるときも、股関節から曲がり、腰への負担がかかりません。姿勢もよくなり、慢性的な腰痛が改善していきます。