じゃがいも 水からゆでたほうがおいしい というのは「 地上に育つ野菜はお湯 」から、「 地下で育つ野菜は水からゆでる 」というのは調理法にも合っています。
地上で育つのは主に葉もの野菜。身が薄いので、熱湯でさっと加熱するだけで火が通り、色鮮やかに仕上がる。上手にゆでるコツは、鍋のフタをしないことです。フタをすると、野菜に含まれる有機酸の働きでゆで汁が酸化し、青菜の色や味が悪くなってしまいます。
地下で育つといえば根菜類ですが、こちらは湯からゆでると、表面はゆだっても芯のほうが生のままだったり、芯まで火を通そうとすると形が崩れたりします。
均等に火を通すには、 「 水からじっくりゆでる 」 必要があるわけだ。根菜類の中でもじゃがいもは、水からゆでるもっともな理由があります。 じやがいも は、加熱するとでんぷん分解酵素の働きが刺激されて糖が増えます。つまり甘くなるのですが、この酵素は 30 ~ 65 ℃ の温度帯で活発に働くという特性があります。
また、じゃがいもの成分に「 ペクチン 」というものがあります。この ペクチン は、加熱しすぎるとやわらかくなりすぎて細胞壁が破れてしまうのです。沸騰したお湯からゆで始めると、中心部がちょうどいいゆで具合になった頃には、外まわりは加熱されすぎの状態になってしまい、食感が悪くなってしまいます。そのため、水からゆでる、というのが基本になってきます。
そこで、水からゆでてこの温度帯の中をじっくりとくぐらせれば、甘みが引き出されておいしくなるのです。ただし、皮をむいてからゆでると糖が水に溶け出てしまう。うまみを逃がさないためには、丸ごとゆでるのがおすすめです。