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体が柔らかい人は、若々しい。経験的にも、整形外科医の立場からも、これは問違いなく言えます。ところが、意識して筋肉を鍛えたり、体を動かしたりしていないと、加齢によってだんだんと体が硬くなり、姿勢が悪くなり、あちこちが痛くなってきます。

ひざが曲がり、お尻が落ち、背中が丸まってきます。このような加齢による姿勢の悪さ(不良姿勢) には、主に3つの理由があります。

加齢で体は硬くなり姿勢が悪くなり血流が悪化

  • 背骨がつぶれて背中が丸くなるもの。骨粗鬆症(カルシウムの不足により骨がもろくなる病気)による 圧迫骨折 が代表的なものです。
  • 脊柱管狭窄症(背骨内部の神経の通り道が狭くなり神経が圧迫される病気)によるもの。この病気は背中を丸めると痛みやしびれが軽減するため、姿勢が悪くなります。
  • 太ももや股関節周りの筋肉が硬くなって、姿勢が悪くなるものです。

1と2は骨に問題があるので自力での改曲背は難しいですが、3は、自己努力で改善させることができます。

カギとなるのが、太ももの裏にある、 ハムストリングス という筋肉です。 「ゴロ寝ひざ裏伸ばし」は、簡単に ハムストリングス を柔らかくするのに役立つ体操です。

では、ゴロ寝ひざ裏伸ばしを行うにあたりあなたのハムストリングスは硬いかどうか、簡単な方法で調べてみましょう。

まず、足を肩幅に開き、ひざ裏を伸ばしたまま前屈します。指先が床につかなかったら、 ハムストリングス が硬くなっている証拠です。

次に、太ももの前側の筋肉を調べます。床にうつぶせに寝て、ひざを曲げ、かかとをお尻につけます。足先やかかとがお尻につかなかったら、太ももの前側の筋肉が硬くなっています。

変形性膝関節症やひざ痛がある人は、この動きは行わないでください。 どうでしょうか?どちらも硬い、という人のほ、りが多いのではないでしょうか?

股関節を曲げたまた膝裏をのばす

ゴロ寝ひざ裏伸ばし の特徴は、股関節を曲げたままの状態で、ひざ裏を伸ばすことです。前屈運動は、ひざ裏を伸ばしたまま股関節を曲げる運動ですから、まったく逆になります。 では、なぜ ゴロ寝ひざ裏伸ばし で腰痛や不良姿勢が改善するのでしょうか。

ハムストリングス は、ひざ裏の少し下から始まり、股関節を通って骨盤に付着している2関節筋です。

ですから、ハムストリングスが硬いと、骨盤がハムストリングスに引っ張られて回転しにくくなります。 ハムストリングスと括抗関係にあるのが、太ももの前側にある大腿四頭筋です。ひざを伸ばすと、大腿四頭筋が収縮し、ハムストリングスがゆるみます。

ゴロ寝ひざ裏伸ばし その1では、この2つの筋肉の相反抑制反射(曲げ伸ばしをするときに括抗筋がゆるんで動作をしやすくなる反射)を利用しています。

拮抗筋(きっこうきん)とは、筋肉運動の際に反対の動きをする筋肉のことです。

股関節を曲げたままひざ裏を伸ばしていくと、大腿四頭筋が収縮します。すると、括抗筋である ハムストリングス は、その反射で自然にゆるむため、伸ばしやすくなるのです。

このように、筋肉の反射で ハムストリングス がゆるむと、前屈運動のように無理な負担がかかりません。 ですから、らくにストレッチができるのです。

ハムストリングス が硬い人は、太ももの前側も硬くなっています。そこで、 ゴロ寝ひざ裏伸ばし で太ももの前側の筋肉をゆるめます。こうして太ももの後ろと前の筋肉をゆるめると、骨盤にかかつていたロックがはずれて骨盤が開放され、可動域が広がり動きやすくなります。すると、前かがみになるときも、股関節から曲がり、腰への負担がかかりません。姿勢もよくなり、慢性的な腰痛が改善していきます。